コルドバの「メスキータ」にまつわるカルロス5世の有名な言葉の真意

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コルドバの「メスキータ」は、モスクの中に大聖堂がある珍しい世界で唯一の歴史ある建物。

1500年代に「メスキータ」の大改修の許可を出した当時の王、カルロス5世の有名な言葉があります。

日本語で伝わっているカルロス5世の言葉と、実際のスペイン語のカルロス5世の言葉のニュアンスがちょっと違う気がしました。

コルドバの「メスキータ」にまつわるカルロス5世の言葉について考えてみました。

目次

コルドバのメスキータの歴史

コルドバのメスキータの建立の歴史が始まったのは、イスラム最初の王朝ウマイヤ朝の786年と言われています。

コルドバのメスキータの円柱の森の大理石

「メスキータ」はスペイン語でモスクの意味で、イスラム教徒の時代に建てられたモスクということです。

コルドバのメスキータの建立は約200年もかかったそうで、モスクとしては世界最大級。確かにメスキータに入って「かなり広いなぁ」って印象を私は持ちました。

コルドバのモスクがキリスト教の礼拝堂に変身するのは、「レコンキスタ」と呼ばれるキリスト教徒によるイベリア半島奪還の後です。

1236年のレコンキスタの後に、カスティーリャ王のフェルナンド3世によってキリスト教の礼拝堂に変身することになりました。

コルドバのメスキータの大聖堂と聖歌隊席

その後、コルドバのメスキータでは何度も改修が行われていますが、メスキータが大聖堂へ大きく変身することになったのは、1523年頃。当時の王カルロス5世が改修の許諾を出し、大改修が行われることになりました。

日本ではカルロスが「カール」とされていることが多いと思います。また、スペイン語ではカルロス1世になっていることもありますが、同じ人です。

コルドバのメスキータに入るとたくさんの柱があるのが印象的ですが、カルロス5世が許可を出した大改修によって、メスキータの柱の数は大幅に減らされ、真ん中に大きな大聖堂が造られたのです。

メスキータの中の大聖堂

コルドバのメスキータの中にある大聖堂は、なかなか大きな美しい聖堂です。

コルドバのメスキータの大聖堂

メスキータは外観、建物の中もイスラムの建築様式が残された造り。

だけど、メスキータの真ん中だけゴシック様式のキリスト教の大聖堂となっていて、確かに不思議です。

大聖堂建立の後にカルロス5世が言った言葉

イスラム教の建物の中に、キリスト教カトリックの大聖堂があるというのが、コルドバのメスキータが歴史的・宗教的に注目されている要因のひとつです。

コルドバのメスキータの円柱の森

コルドバの大聖堂建立に関しては、カルロス5世の有名な言葉があります。

大改修のゴーサインを出したカルロス5世が、出来上がった大聖堂を見て放った一言。

Habéis destruido lo que era único en el mundo, y habéis puesto en su lugar lo que se puede ver en todas partes. En todas las ciudades importantes hay bellas catedrales, pero solo Córdoba tiene una Mezquita tan singular. -Carlos V

このカルロス5世の言葉について、観光ガイド的な日本語のウェブサイトなどでは、

どこにでもあるような建物(大聖堂)のために、この世で唯一のもの(モスク)を壊してしまった。

とカルロス5世が自責の念を述べた、としていることがほとんどです。これだけ見ると、カルロス5世が自分を責めているような言葉に見えます。

がしかし、スペイン語を見ると

「habéis」(あなたたち)

って言ってる、カルロス5世は。

せめて「hemos」(私たち)だったら自分が含まれているのかなと思うのだけど、「habéis destruido」って「あなたたちは壊してしまった」だよね。

カルロス5世の言葉をそのまま日本語にすると

あなたたちは世界で唯一のものを壊してしまった、そしてそこにどこでも見られるようなもの(大聖堂)をあなたたちは造った。どこの重要な都市にも美しい大聖堂は存在するけど、唯一無二のメスキータはコルドバにしかない。

moni
えーなんか、人のせいにしてない?

カルロス5世は大改修の許可は出したけど、現場は特に見ていなかったそうなので、もちろん自分の行動にも後悔していたのだと想像できます。

しかし、カルロス5世の言葉だけ聞くと「あなたたちが壊しちゃった」みたいな言い方だよね。

日本語の訳ではカルロス5世が自責の念を述べたかのような印象を受けるけど、実際のカルロス5世の言葉は自分を含まれない「habéis」(あなたたち)に向けて発せられたように思えてしまいました。

コルドバのメスキータの円柱の森の柱

このニュアンスの違いを「どうでもいい」と思う人もいるでしょう。私はスルーできなかった。だって、改修の指示を出された人たち、どうすんの。もう大聖堂造っちゃった後にそんなこと言われても。。。

時すでに遅し。もう元には戻せない。

こうしてモスクの中に大聖堂があるという、2つの宗教が融合したそれこそ唯一無二のコルドバのメスキータが出来上がったのです。

その後はキリスト教への大きな改修は行われていないそうなので、コルドバの大聖堂は他の都市の大聖堂と異なり、モスクの建築が大部分を占めている状態で残っている貴重な建物なのですね。

ユニークな歴史を持つコルドバのメスキータと大聖堂は、「コルドバ歴史地区」として1984年に世界遺産に登録されました。

コルドバのメスキータの見どころ

スペインの人気観光名所において、コルドバのメスキータは観光客数でトップ10入りしているそうです。

セビリアをすっ飛ばしてコルドバを観光する人が多いから不思議に思っていたけど、コルドバのメスキータは幻想的な雰囲気があり見どころも多いので、日本人に人気がある理由がわかる気がします。

オレンジの庭は身を浄めるところ

モスクには必ずある庭は身を浄めるところです。必ずこの庭で体と心をきれいにしてから、モスクに入ったのだそうです。

コルドバのメスキータも、メスキータに入る前に庭があります。

コルドバのメスキータの庭は、オレンジの庭と呼ばれていて、98本のオレンジの木があります。オレンジは18世紀に植えられたものだそう。

幻想的な円柱の森

観光ガイドブックや観光ウェブサイトなどで見かける写真はここ。コルドバのメスキータの円柱の森です。

コルドバのメスキータの円柱の森

「円柱の森」はメスキータを入ったところにある空間全体を指しています。フォトジュニックな場所だそうで、インスタには「円柱の森」の写真がたくさんあがってます。

「円柱の森」には1300本の大理石の柱があります。「円柱の森」で使われている大理石の柱は寄せ集めなんだって。確かによく見ると一つ一つ違うような気も…します。

メスキータの柱の悲しい伝説

コルドバのメスキータの柱には、有名な悲しい伝説があります。

昔、果実園で働いていた男性が花や果物を買おうとしたアラブの女性に恋をしました。彼女に結婚を申し込んだ彼。彼女は彼からの求婚とキリスト教徒になることを受け入れました。

洗礼式の前日に、彼女は兵士たちによって殺されてしまいます。そして彼は囚われ、メスキータの柱にくくりつけられて、人々にさらされるのです。

囚われている間も彼は信仰心を忘れないようにと、爪で大理石に十字架を書いていたそう。その跡が柱のどこかに今も残っていると言われています。

メッカの方向 メスキータのミフラーブ

祈りを捧げるメッカの方向に、ミフラーブと呼ばれる空間があります。

コルドバのメスキータの「ミフラーブ」は、961年〜976年に行われた改修の際にできたもの。

コルドバのメスキータのミフラーブ

金や銅で輝く小さな大理石の宝石でできていて、かなり豪華。「ミフラーブ」の前には柵があるので、少し離れたところから見る感じです。

メスキータのアルミナール

モスクには「ミナレット」と呼ばれる礼拝を呼びかける塔が存在しています。

コルドバのメスキータのアリミナール

コルドバのメスキータのミナレットの名前はアルミナール

「アルミナール」は改修が加えられていますが、モスクの時代から使われていた塔で、コルドバのランドマークにもなっています。

コルドバのメスキータは早朝無料!

コルドバのメスキータは、月曜〜土曜の8時30分〜9時30分の1時間が無料で観光できる時間です。

無料時間がかなり短いですが、朝早起きできる人は無料時間を活用してみてください。10ユーロは大きいよね。

コルドバのメスキータ
住所:Calle Cardenal Herrero 1, Cordoba
入場時間:月曜〜土曜 3月〜10月 10:00-19:00 11月〜2月 10:00-18:00
無料時間:8:30-9:30
日祝日 8:30-11:30 15:00-18:00(11月〜2月)または19:00(3月〜10月)
観光所要時間:1時間
入場料:大人10ユーロ/10歳〜14歳と身体障害者5ユーロ
10歳以下、アンダルシアで65歳以上のカードを持っている人、コルドバ市民は無料

カルロス5世の言葉の真意は?

コルドバのメスキータと大聖堂で私が気になるのは、やっぱりカルロス5世の言葉です。

大改修を許諾した自分を責めたかったのか、改修の様子を見に行かなかったことを後悔したのか、現場で改修を行った人たちの配慮のなさを嘆いたのか…今となってはわかりません。

歴史ある建物という点はもちろんだけど、カルロス5世の言葉に謎があるから、コルドバのメスキータと大聖堂はより一層興味深い世界遺産に感じるのかも。

最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!

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この記事を書いた人

スペイン語とスペイン文化+αを学ぶため、会社を退職して2015年〜2021年までスペインのセビージャ暮らし。スペイン生活の中で気づいたこと、セビージャのこと、旅の思い出、スペイン語などなどをブログに記録。熱中したら止まらないB型。Sevilla tiene un color especial〜♬
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