スペイン人初のショパンコンクール入賞とスペインのクラシック人口

ショパンコンクールの配信ライブを毎日のように見ていました。
昨日の朝4時頃に大トリの演奏が終わり、朝9時過ぎ頃にファイナルの結果が発表となりました。

6時半頃に結果が出ると言われていたから、かなり待ったYO!!
気になるファイナルの結果なのですが!
スペインのヒホン出身のMartín García García(マルティン・ガルシア・ガルシア)さんが3位入賞!そして同時にコンチェルト(協奏曲)において最優秀演奏賞も受賞されました。
Martín García Garcíaさん、おめでとうございます!
スペイン人がショパンコンクールで初入賞
スペイン人がショパン国際ピアノコンクールで入賞(6位以内)するのはなんとお初です!
(スペイン語のwikiでこれまでの入賞者の名前と国籍が確認できます。)
7月に始まった2021年ショパンコンクールの予備予選には100名以上が参加していましたが、その時点でスペインからの参加者はマルティンさん1人。
その後、1次予選の87名、2次予選の45名、3次予選の23名に選ばれて勝ち進み、ついにはファイナル12名に残りました。
ファイナルの入賞者は8名。順位は6位までですが、今回は2位が2名、4位が2名いたため、8名の受賞となりました。
マルティンさんは第3位!そして同時にコンチェルト賞というコンチェルトの最優秀演奏者に贈られる賞も受賞しています。
ショパンコンクールの予選から出場していたスペイン人はマルティンさんひとり。
マルティンさんがどんどん勝ち進んで、現地とネット上でファンをどんどん増やして、ファイナルでは実力派な演奏をしていろいろな音楽を聴かせてくれたこと、ものすごく強烈に印象に残っています。第3位とコンチェルト賞の受賞は本当にすごい!
それもスペイン人として初めての入賞。権威あるコンクールの一つショパン国際ピアノコンクールにおける、スペインの歴史を変えた人と言えると思います。
そしてマルティンさんは今年、クリーブランド国際ピアノコンクールでは優勝されているのです!同じ年に2つのコンクールに出場して、優勝と3位入賞というのは快挙だと思います。
ファイナルのMartín García García
ショパンコンクールを毎日リアルタイムで視聴していたので、ファイナルの様子を少し。
ファイナルは協奏曲(コンツェルト)第2番の演奏でした。
彼は大声で歌いながら演奏するという一度見たら忘れられない強烈な特性を持っていらっしゃり、太陽のような笑顔とキュートな人柄もあり、予選の時から会場のポーランド観客を沸かせていました。

私は勝手にスペイン ヒホンが生んだ大砲と名付けさせていただきました。
twitter上でもマルティンさんは多彩な表現力とみんなを幸せにするような笑顔ですぐに人気者になり、#ガルシアガルシア というハッシュタグができるほどでした。
本選のコンツェルトでも歌っていた姿は印象的。Fazioliのピアノを活かした華やかな音や、しっとりとした面も感じさせる協奏曲第2番を演奏し、会場の喝采を浴びました。
下記は2次予選までのマルティンさんを見て、私が感じた彼の魅力を書いた記事です。
スペインのクラシック人口
私はスペインにクラシック音楽のイメージがあまりありませんでした。
アルベニスやグラナドス、ファリャのような作曲家はいるし、優れた音楽家もを輩出していないとおう意味ではなく、人々の生活の中でクラシック音楽に馴染みがあまりないのではないかという感覚です。
それは、例えば街を歩いていて聴こえてくる音楽や友人との会話、テレビ番組などから、あまりクラシック音楽に触れる機会が少なかったからだと思います。
それでスペインのクラシック人口が気になって調べてみたら、興味深い記事を見つけました。EL MUNDOの記事なんですが
という内容。
Spotifyが「スペイン人がもっともクラシック音楽を聴いてます」という調査結果を出したのだそうです。人気はバッハ、ショパン、ベートーヴェンなどで、年齢は35歳以上が大半を占めている模様。
参考:En España se escucha un 30,84% más música clásica que en el resto del mundo(EL MUNDO)
もう一つ別の記事にはこんな記載がありました。
15歳以上16,000人への調査結果。46.8%が毎年、舞台芸術や音楽の公演・ライブに足を運んでいる。全体のうち30%が現代音楽のコンサート、24.5%が劇場公演、9.4%がクラシック音楽コンサート、バレエとダンスの公演が8%、サーカスが7.8%、オペラコンサートが3.3%、1.5%がサルスエラのライブ、に行っている。
日本は以下の記事によると、25歳以上で1年以内にクラシック音楽鑑賞を行なった人の割合が9.5%という調査結果があるそうです。
参考:都道府県別25歳以上クラシックコンサート人口(都道府県別統計とランキングで見る県民性)
つまり
日本で1年以内にクラシック音楽鑑賞に行った人9.5%
いずれの記事もアンケートを取った人々の中で、クラシック音楽のコンサートに足を運ぶ人の割合を示した内容ですが、数字を見るとスペインと日本のクラシック音楽を楽しむ人の割合に違いはなさそうです。
むしろSpotifyの調査結果では、クラシック音楽を日常的に聴くことを楽しむ割合はスペインが世界で一番多いよう。
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スペインであまり報道されていない?
なぜスペインのクラシック人口に疑問を持ったのかと言うと、住んでいた時の自分の感覚もありますが、Twitterで「マルティンの快挙についてなぜあまり報道されないのか?」とスペイン人ピアニストがつぶやかれているのを拝見したからです。
今回のショパンコンクールで日本人2人が2位と4位に入賞したということで、日本はテレビやニュースでたくさん報道されています。1位のブルース・リウさんのお名前を紹介していないニュースはどうなのかなと思いましたが…。
スペインでもいくつかのネット記事にはマルティンさんの受賞のことが書かれているようだけど、大きなニュースになっていないということなんでしょうか。(abc.esやelmundo.esの記事はヒットしなかった)
EL MUNDOにマルティンさんの記事が掲載されました!(2021年10月26日やっと…)
アストゥリアスの若者が世界的なピアノの頂点に-ポリーニ、ツィマーマン、アルゲリッチなどを排出した権威あるショパンコンクールで第3位(EL MUNDO)
入賞が決まった直後の、スペイン語のツイートは少なかったです。日本人の方がマルティンさんのこと「ガルシアガルシア」さんとたくさんつぶやいていたと思う。
日本の調査結果は年齢における分布がわかりませんが、Spotifyの調査ではスペインにおいて35歳以上でクラシック音楽を楽しむ人が多く、若者のリスナーを増やすことが課題と記載があったので、SNSで目にする機会が少ないのは年代が関係している可能性もあるかもしれません。
ニュースや記事であまり大々的に取り上げられないというのは、メディアがクラシックを盛り上げようとあまり思っていないということなのかもしれない。(あくまでも私が感じたことです)
マルティンさんショパンコンクール3位おめでとう!
マルティンさんはコンクールを通して、彼の音楽のいろいろな面を見せてくれました。予選と本選でガラリと印象が変わったピアニスト。音を楽しむことが「音楽」なのだと改めて感じさせてくれました。
3位入賞とコンチェルト賞の受賞、本当におめでとうございます!
2022年の1月には地元ヒホンで若者たちの演奏会的なコンサートに出場するそうです。(ヒホン交響楽団のサイト)
お近くのスペイン在住者さんはぜひ、マルティンさんの玉手箱のような音楽を聴きに行ってみてください。マルティンさんの演奏を聴いたら、きっとファンになるはずです♪
最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!
マルティンさんの出身地、ヒホンはこんなところでした↓
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