スペインでフラメンコのクラスを受けて感じた日本人の良い点と弱点

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スペインでフラメンコのクラスを受けていると、欧米人と日本人のクラス受け方に違いがあってビックリすると共に興味深いです。

むしろ日本人が変なのではないか?と最近では思うように。クラスの受け方が舞台の上でも出るということも感じました。

スペインでフラメンコのクラスを受けて感じた日本人の良い点と弱点を、私なりにまとめてみます。

どちらかをディスってるとかではないので、娯楽として読んでね。

目次

クラスを受けて思った日本人の良い点

セビリアにはフラメンコのクラスを受けている日本人がたくさんいます。

日本にいた時は全く気がつかなかったけど、欧米の子たちと一緒にスペインでフラメンコのクラスを受けてみてわかった日本人の良い点。

日本人のクラスの受け方については、先生となるアーティストから褒められることもあります。良い点はそのまま持ち続けよう。

事前予約したら絶対来る

日本人は事前に「行きます」と言ったら、特別な事情がない限りクラスに行きます。予約したクラスの出席率がダントツで高いのが日本人。

日本でフラメンコのクルシージョ(短期講習会)を受ける時、予約したら事前にお金を支払います。1週間前からはキャンセル料が発生するし、申し込んだらきちんと出席するのが日本では当たり前だからその習慣がある。

スペインでは事前に「行きます」と予約していても、当日来ないということはよくあります。

「いきまーす」と言ったものの、当日気が向かなかったから行かないというやつね。

予約金を支払うケースは多くないので、参加者側の痛手はなし。困るのは主催者側。

クラスやクルシージョに来る見込みで人数計算してるから、そういう人が何人もいる(いるんだな何人も)とアーティストへのレッスン代支払いができなくなって困るのです。

日本人は事前に「行きます」と言ったらほぼ100%来る。だから主催者からすごい好かれる。

関連記事 ▷ スペイン人は約束を守らない?約束に対する考え方の違い

時間ぴったりに来る

アンダルシア時間が流れているセビリアでは、時間ぴったりにクラスに来ない人は多いです。クラスの始まりも5分〜10分遅れることもよくあるし。

日本人はやはり時間にきっちりしてるよねと思う。

クラスの最初に大切なことを話す先生もいるし、始めの15分くらいで振り付けがガーッって進むことはよくあるから、遅刻してくる人は損しています。

進んでしまった振り付けに追いつくのが大変だし、アーティストによっては嫌な顔する人もいるよ。

だけど、学習せずに次の回も遅刻してくる地元民もよくいる。

ちなみに私も結構遅刻魔で、その度に欧米人の友達に「Japonesa?Sevillana?(日本人なの?セビジャーナなの?)」って問われます。汗。

クラス中は先生の話をきちんと聞いている

「クラスでは先生の話を聞く」は小学校で習った記憶があります。

スペインでフラメンコのクラスを受けて一番驚いたのは、クラスで先生の話を聞かない人が多いこと。

クラス中に自分の人生ストーリーを30分くらい長々と話すアーティスト(先生)もいます。それはフラメンコの生活体験(vivencia)がない私たち外国人には、宝石のような経験だったり言葉なのだけど!

なんでかな。先生の話が長いと床に座り出したり、お菓子食べたり、スタジオ出て外で自主練したり…

先生の方を向いてまっすぐ立って話を聞いているのは、日本人だけだったことがありました。

アメリカ人やコロンビア人の友達に

moni
日本人ってずーっと先生の話聞いてられるのね。すごいね。

と逆に驚かれました。

先生の話を聞くって普通のことじゃないの…か?

先生に楯突かない

先生の話を聞かないどころか、先生に楯突く人もいます。

  • 難しいこと教えてるあなた(先生)が悪い
  • あなたの説明がわかりにくいから私はできない
  • 私にどうしてほしいわけ?

こういうことを先生に平気で言う人たちを結構見ました。クラスで固まったYO…

日本人で先生に逆ギレしている人は見たことないですね。

空気読む

日本人の空気を読む技術はピカイチ。これは日本人的な空気の読み方とも言えるかもしれない。

先日、クラス中に先生であるアーティストが歌うタイミングがありました。いつもはクラスをやらないアーティストが目の前で生で歌ってくれる貴重な機会。

そんな時

moni
このアーティストの歌が聴けるなんて!

と耳を澄ます日本人は多いと思うのだけど

moni
あーその歌知ってる!私も一緒に歌おう!

とアーティストより大きい声で歌い出す姿を見てソワソワ。

こんなこと気にしてるのは私がザ・日本人だからなのか…アーティストの邪魔になってないかなとか、アーティストの歌を聴きたいとか…思わない?

復習してくる

スペインのフラメンコのクラスは、日本のクラスよりもレベルが高いことが多いです。特に上級クラスだと技術的に追いつくのが大変なこともあります。

だから日本人はちゃんと復習してくる。

それに前回のクラスでやったことを忘れてしまったら全て振り出しに戻ってしまうから、復習は学ぶ者が最低限やるべきことと思っている人が多いはずです。

対して復習してくるどころか、前回のクラスでやったことを全て忘れてまっさらな状態でやって来る欧米人。特に地元セビリアでのクラスに慣れているスペイン人。

彼らは瞬間を生きる人間なんで過去のことは追わないのだと思います。

一緒にフラメンコクラスを受けているクラスメイトに、「あなたの頭には機械が入ってるの?」とか「なんでそんな記憶力いいの?」と言われることはよくあります。

クラスの復習をちゃんとしているだけなんだけど…。

クラス終わりに復習動画を撮る時のマネキンをしたり、復習会を先導したりと、日本人は復習の道具としてクラスで重宝されたりします。

みんな動画撮ってるのに復習して来ないの不思議。

クラスを受けて感じた日本人の弱点

一言で言うと日本人は真面目にクラスを受けているのだけど、一方で日本人が苦手とすることがあります。

即興が弱い

復習をきちんとしてくる日本人は、クラスで教えられた通りにやるのは得意。記憶力もいいから、先生が言った順番通りの振り付けを間違えずにできるまで練習してくる。

でも、即興にはめっぽう弱い。

言われた通りにやることに慣れていて、その場でとっさに対応することに慣れてないから。

即興は重要なフラメンコの要素。

尊敬するアーティストたちはよく「Flamenco es un dialogo.(フラメンコは会話だ)」と言います。大まかな流れは決めたとしても、3者でうまくコミュニケーションをとりながら即興しているわけです。

バイレフラメンコについて言及するなら、振り付けは自分の引き出しの一部であって習った順番通りにやるものではない。カンテやギターとのコミュニケーションによって変わってくるから。

スペイン人は即興が得意だと思います。

復習をしてこない代わりに、なんとか帳尻合わせようとして普段からクラスで即興してるから、いざという時も即興である程度できてしまうのではないか。

スペインに来て初めに気がついたスペイン人と日本人の違いが、即興性についてです。日本人が一番苦手とするのはたぶんこれ。

とっさに自分の意見を言えない

これは私が身を以て体験したこと。とっさに自分の意見が言えない。

クラスで先生に「どうしたい?」と聞かれた時や「これについてどう思う?」と言われた時、「うーん」と考え込んでしまう。

ある日、フラメンコのクラスにスペインTVが撮影に来たことがありました。「フラメンコと外国人」というキーワードで撮影したいから、外国人にインタビューしたいと。(事前周知なし)

欧米のクラスメイトは「よくそんなに語れますね」と思うほど、次から次へと自分のヒストリーが湧き上がって流暢にインタビューに答えていました。自分の意見をしっかり言葉に出す癖がついているのだと思います。

私は他人事だったのだけど「どうしても日本人の画がほしい」と言われ、日本人の友達と2人でインタビューに答えることに。

moni
日本人は何故そんなにフラメンコに夢中になるのですか?

そう聞かれ

moni
なんでだろう…

と考え込む私たち。あまりにも沈黙が長いのでカメラ止めて仕切り直し。「考えていいよ」とインタビュアーに言われる。

即興できないのと同じ。とっさに自分の意見をスパッと言えなかった。

質問できない

私は比較的質問をする方だと思うけど、日本人はクラスでわからないことがあっても質問しない人が多い。

クラスが終わった後に他の日本人に「ここってこうなの?」と聞くことはあるけど、クラス中に先生に質問するのが苦手な人が多いように思います。

クラスを止めたら悪いとか、できないことが恥ずかしいという心理が働くのかなと。私もそう思って遠慮してしまうことはあります。

だけどわからないところはクラスメイトじゃなくて、アーティストに直接聞かないとね!その人から学んでいるわけだからね。

コピーがうまい

即興が苦手というところにも通ずるのですが、日本人はコピーがうまいです。

先生がやったように先生を真似てやることができる。一見、上手にできているように見えます。

しかし、パソや動きをコピーするだけでは「sello」は生まれないとも言われます。

「sello」とはスペイン語でその人が持つ個性のこと。フラメンコで大切だと私が思っていることの一つです。

最終的にはコピーする側の方が上手にできるようになる。手本があって真似しているのだから当たり前。だけど、コピーを見に行くくらいなら俺は本物の方を見に行く。

ファルキートがクラスで言ってたんだよなぁ。

自分らしくナチュラルにできるか、これは本当に難しい。

日本の「先生」文化とクラスの受け方

スペインでフラメンコクラスを受けてみて初めて、日本人の心構えの良い点と、真面目にクラスを受ける日本人だから直面するであろう弱点を意識しました。

ちなみに日本の「先生」という言葉は、スペインの「profesor/ra」とは異なる存在だと言っているアーティストがいました。

「先生」は日本語にしか存在しない呼び方。生徒たちから敬意を持たれ、大切にされている存在だと言うのです。

なるほどぉ。「先生」という存在に対する文化的な違いが、クラスの受け方の違いにも出るのかもしれません。

最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!

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この記事を書いた人

スペイン語とスペイン文化+αを学ぶため会社を退職して2015年〜2021年までスペインのセビージャ暮らし▷2024年東京大学文学部に学士入学して現在は美学芸術学専修の3年生。好きな言葉は「我々は無理をしない」のふなっしー推しなっし。多言語学習中。X(twitter)は悩める大学生活や勉強に関するポスト多め。

コメント

コメント一覧 (2件)

  • 今回も面白かったです。
    私は35年前にイスラエルのキブツ(共同農場)に行ってヘブライ語の授業を受けていましたが、まさしく同じ模様でした。最初は日本人からすれば他国から来た人生徒たち の勝手さにヘキヘキしましたが、仲良くなるにつれて、「もっと自由に、ハッキリと思っていることを言ってくれ!ニコニコしているだけではわからない。」彼などらから言わせれば逆に思われていたようでした。

    これからも楽しく読ませて頂きます。

    • >奥田令仁さん

      読んでいただきありがとうございます(^^)

      イスラエルの言語を学ばれていたなんてすごいですね!イスラエル人の友達何人かいますが、すごく難しい印象です。

      欧米の人からすれば日本人が笑顔だけで何も言わなかったり、黙って考え事をしている行動は理解できないのかもしれませんね。
      私も言われたことあります。汗。

      育った環境とその国の文化で考え方が180度違うから面白いですね。

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