「芸術は一瞬」
さまざまなアーティストの演奏を聴いて、最近この言葉の意味をよく考えています。
芸術の奥深さを感じるキーワードとして私が常々感じているもの。
「一瞬」「即興」
今回はそのうちの「一瞬」について。
芸術は一瞬
この言葉は私のフラメンコの先生がよくクラスで言っていた言葉です。
Arte es un instante.
それまであまり意識したことはなかったけど、その通りだなと思ってずっとこの言葉が頭に残っています。
フラメンコのライブや公演、もしくはフィエスタなどで演奏や踊りを見て、ゾクっと感じる動きや音の表現、歌い手の声の震えやquejío(こぶしのようなもの)。
これらは全てずっと継続されているものではなく、瞬間的に体験する、目撃することです。
三島由紀夫はこのような言葉を残しているそうです。
音楽の美は、その一瞬の短さにおいて生命に似ている。
理屈なしの瞬間
演奏を見て感動した時、その演奏を隅から隅まで全て覚えているわけではない。
気持ちを揺さぶられた一音や、心を掴まれた1フレーズや、芸術に向き合うアーティストの一瞬のまなざしなど、演奏の中で見たどこかの瞬間が強烈で、すばらしい!と感動するのだと思います。
それは演奏の中で何度も起こる瞬間かもしれないし、もしかしたら1回の演奏の中で1度しかないかもしれない。でもその1回の一瞬にものすごい惹かれたら、心の底から感嘆が生まれます。
テクニック的にはとても上手だし美しいのに、自分にはなんだか迫るものがないなという時は、その一瞬を感じることができなかった時なのだと思います。
理屈なしにガッと心を持っていかれる瞬間。
心臓がわさわさして鳥肌が立つ、なんとも表現しがたい一瞬です。
そんな瞬間に立ち会えたら、この演奏を聴くことができてよかった!このアーティストに出会えてよかった!と思います。
動画で残されていれば、何度もその瞬間をリピートしちゃうやつですね。生で観た時の衝撃は越えられないけどね。
時間の流れと一瞬の芸術
音楽の演奏のように時間の流れと共にある芸術は、心が湧き上がるような一瞬がよりわかりやすいです。
私は花火が大好きなのですが、花火も一瞬の連続の芸術です。
花火が打ち上がっている間の昇り曲導の美しさ、花火が開いた瞬間の勢いや位置、玉の形の均等や花火の色、花火が消えゆく時の儚さや余韻など、人それぞれ心を奪われる瞬間は異なると思います。
その日の自分の気分によっても、心に響く一瞬は変わります。
時間芸術にはそのような「一瞬」が存在しており、時と場合によってその「一瞬」を感じ取ることができます。
一瞬の芸術を楽しみに
「一瞬」が出てくるかどうかは誰もわからない。アーティストも聴衆も。
だからこそその「一瞬」は存在感があり、重みがあり、人の心を動かすのだと思います。
その一瞬に立ち会えたら、それはとても幸せなことだね。
最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!
コメント