映画「陽のあたる教室」を観ました。中学生か高校生の時にテレビかビデオで観てとても印象に残っていた映画で、いつかもう一度観たいと思ってました。
すごく温かく感動した覚えがあって、久々に観たらやっぱりじんわり感動する作品でした。
まだ観ていない人がもしいたら、ぜひ観てみてください。音楽好きな人だけでなく、ハートフルな物語が好きな人におすすめします。音楽教師とその生徒たちのお話です。
映画「陽のあたる教室」の感想文を書きます。あらすじネタバレするので、これから観ようと思ってる人は気をつけてくださいませ。
「陽のあたる教室」の英語タイトル
日本語のタイトルは「陽のあたる教室」だけど、英語の元のタイトルは「Mr. Holland’s Opus」ホランド先生の作品。
ホランド先生のOpusが何なのかは映画の最後でわかります。
元タイトルの方が最後の元生徒で州知事の女性のコメントとつながるから「あぁ!」ってなるんだけど、日本語タイトルは記憶の残りやすさを重視したのかな。「ホランド先生の作品」だとちょっとインパクトが弱いからかもね。
「陽のあたる教室」は中学校の英語教材にもなっているそうで、英語学習用のDVDも販売されています。
映画「陽のあたる教室」の見どころ
この映画の見どころは、作曲に時間を割けると想像した音楽教師の職をあまりやる気なく選んだホランド先生が、生徒たちと関わっていくうちに音楽を通じて教えることに喜びを感じていく部分です。
そして生徒たちもホランド先生と関わることで、何かを一生懸命になること、成し遂げる喜び、諦めないことを学んだりします。
こう書くとよくある教師ものや学園ものみたいですが、ホランド先生の人生全体を通して映画が進むので、何世代にも渡る生徒たちに教えていく姿が描かれているのがポイントです。
ホランド先生と奥様の間に生まれた息子は耳が聴こえないことがわかります。息子に音楽を聴かせてあげることができない。息子の言いたいことがわからない。
ホランド先生は息子よりも生徒と向き合うようになってるのではないかと思う時期もあるけど、あるできごとをきっかけに息子とも向き合うようになっていきます。
ホランド先生を演じるのは、アカデミー主演男優賞を受賞したこともあるリチャード・ドレファス。
この映画の時はリチャード・ドレファスがちょうど48歳くらいだと思いますが、映画の中では30歳から60歳まで演じていて、生徒や家族と触れ合う中で心理的に成長する教師を見事に演じています。
リチャード・ドレファスの他の作品を観たことがないのですが、この映画の演技は本当に大好き。長身なわけではなく、特別イケメンでもないと思いますが、とても魅力的なホランド先生を演じています。
生徒や息子との関わりの中で少しずつ変わっていくホランド先生の心情や、ホランド先生の人間としての成長を感じることができる、人間味あふれる展開で、この映画を観賞した後は本当に心が温まります。
15年くらい前に観た時のその感情をよく覚えていて、いつかまた観たいとずっと思っていました。ストーリーを知っていても何度も観たくなる映画です。
映画「陽のあたる教室」で印象に残ったシーン
映画「陽のあたる教室」は印象的なシーンが多く、そのたびにプチ感動。そして最後は涙腺崩壊が避けられないYO.
ラバーズ・コンチェルトなバッハ
ラバーズ・コンチェルトという曲にアレンジされたバッハのメヌエットを使って、生徒に音楽に興味を持ってもらうシーン。
まずバッハのメヌエットが懐かしすぎるのと(ピアノを習うと必ずやる曲)、映画の中のホランド先生のピアノアレンジが粋で好きです。
音楽を教える楽しさを少しずつ感じ始めたホランド先生がよくわかるシーン。
クラリネット女子の低音
一生懸命練習して一生懸命演奏するんだけど、どうしてもうまく音が出ないクラリネット担当の女の子。
ホランド先生が彼女に「楽譜を気にしすぎないで弾いて」と言って一緒に演奏し、3度目の正直で低音が出た時の彼女の感動は、スクリーンを通して確実に伝わる感動でした。
これがホランド先生が教師としての喜びを感じる、大きなできごとになったのではないかなと思います。
体育教師とチェス
頭も筋肉です的な熱血体育教師が同じ学校にいます。ホランド先生が着任した時から親しくしてくれた先生。
その熱血体育教師に「面倒見てもらいたい生徒がいる。勉強ができないけどレスリングの才能はあるから、単位のためにブラスバンドに入れてくれないか。」と言われるホランド先生。
音楽の才能がなさそうなレスリング男子に少し教えて「無理だ」と言ったホランド先生に対して、「教師失格だ」と言った体育教師グッジョブ。ホランド先生の諦めない精神に火をつけた。
ブラスバンドのレスリング男子と両親
ホランド先生の特訓の甲斐あって、レスリング男子はドラムができるように。そしてブラスバンドデビュー。
このブラスバンドのシーン好きなんだけど、楽しそうなレスリング男子はもちろん、彼の両親が「あれがうちの息子だ」と嬉しそうに誇らしげに言うのが本当に素敵。
このシーンがあるから余計、この後の悲しいシーンは本当に悲しい。
コンパス
ホランド先生が教師になった時から校長先生だったヘレン・ジェイコブス先生が定年退職をホランド先生に伝えた時、ホランド先生にコンパスを渡します。
乗り気でなく教師になった時にホランド先生に「教師はそんなに甘いものじゃありません」「生徒のコンパスになること」と教えてくれた校長先生。その校長先生からコンパスのプレゼントは思わず感嘆の笑みがこぼれた。
「あなたは私のお気に入りでした」とホランド先生に伝える校長先生。理解あるいい校長先生だったね。
ロウィーナの誘惑
ホランド先生が40代中盤くらいの頃、ロウィーナという美しい生徒に学園祭の指導をしていく中で心惹かれていきます。それはロウィーナも一緒。
ロウィーナちゃんはなかなか積極的な女の子で、作曲中の曲を「弾いて」って頼んだり、私と一緒にNYに来てって言ったり、舞台で歌いながらホランド先生を見つめたり。アピールすごいよね。
ホランド先生もちゃっかり作曲中の曲に「ロウィーナのテーマ」ってつけてるし。「本当は作曲をやりたいんでしょ?(だから一緒にNY行こう)」とロウィーナに言われて心揺れるホランド先生。芽生えてしまいそうな浮気心。
この一連のシーンのホランド先生はなんかめちゃくちゃかっこいいのよね。学園祭で指揮する姿、ロウィーナに心揺れる姿、バス停でロウィーナを見送る姿。
別れ際、キスを促すロウィーナの唇ではなく頬にキスしたホランド先生がジェントルマンでした。
ビューティフル・ボーイ
ジョン・レノンの死のニュースのことで息子と大げんかした後、ホランド先生は今までの息子との向き合い方を反省。
息子が通う聾学校でコンサートを開き、息子のためにジョン・レノンのビューティフル・ボーイを歌うシーン。
ここは本当に美しいシーンです。とびきり上手いわけではないけど、ホランド先生の心こもる歌。息子役の俳優さんはジョセフ・アンダーソンさんかな。とても自然な表情が心に残ってます。
アメリカン・シンフォニー
ホランド先生退職の日の講堂でのシーン。講堂のドア開けたところから泣いてました。
ホランド先生は生徒たちからこんなに愛されていたんだなとわかる名シーンです。
かつてのクラリネット少女が登場して、ホランド先生のOpusはなんなのか説明してくれます。最後は壇上で自ら作曲したアメリカン・シンフォニーの演奏。
この講堂のシーン泣かないで観られる人いるのかな?号泣です。
会場全体ヒュー!ウェーイ!な感じは、アメリカっぽいなーと思いました。アメリカ行ったことないからイメージだけど。
気になっていること
おそらくこの映画を観た誰もが気になるであろうことは、結局ロウィーナはNYでどうなったの?ということでしょう。
フューチャーされた生徒たちはその後がわかったけど、「君には才能がある」とホランド先生も推したロウィーナだけはその後がわからない。講堂に登場されても困るのだけど。
深夜バスの出発の時に「さよなら、ロウィーナ」と言ったのは本当に今後さよならという意味なんだろうなとホランド先生の表情からとてもよくわかったけど、それでも気になっちゃいましたね。
その後がわからないのにロウィーナのシーンは必要だったのかという話になるけど
長く生きてればそんな色恋沙汰もある
それでもホランド先生を信じて支える奥様
生徒に心惹かれるけど踏みとどまるホランド先生
奥様とホランド先生の信頼関係や、ホランド先生の誠実な人柄を描きたかったのかなということと
作曲に時間を割きたくて教師になったホランド先生が、時を経て考えに変化があって自ら「教師を選んだ」
ということが描かれているのかなと思いました。
実際には、家族を捨ててNYに行けるわけないやろーってところもある。ホランド先生が目の前の欲に目が眩む人でなくてよかったです。
ホランド先生の奥様の支えが素晴らしすぎる
ホランド先生が生徒に向き合い、息子に向き合い、教師を続けられたのは奥様の支えあってこそです。この奥様は本当に素晴らしすぎる。
妊娠を伝えたのにそっけないホランド先生
子育てや息子の難しい手話通訳は奥様に任せっきりなホランド先生
ロウィーナの色恋沙汰に巻き込まれるホランド先生
奥様としては、ホランド先生に対して理解が足りないと感じる部分はあったと思います。
特にロウィーナの件はさすが妻。敏感に感じ取ってた。
曲名に「ロウィーナのテーマ」と書いてあるのをめざとく見つけたし、学園祭で歌うロウィーナを見る複雑な眼差しは切なかったよ。ホランド先生もわかりやすいことしちゃダメよ!
それでも何もホランド先生に言わず、ホランド先生を信じて見守る奥様の気持ち、ホランド先生は知ってたのかな?
音楽を通じて教える
一人の人生を時系列で並べていく展開で若干間延びしそうな内容なのに、当時の社会情勢がわかる映像が流れたり、世相を反映した曲、シーンに合った選曲があって、飽きることなく2時間20分視聴することができます。
出会う教師で生徒は変われることがよくわかるし、こんな教師に出会うことができた生徒たちは幸せです。
そしてホランド先生を支えた奥様が偉大すぎます。ホランド先生の作品(Opus)は奥様の陰なる支えがあってこそのものでした。
ラストで生徒たちが講堂に集まったシーンは素直に涙が出ます。そしてアメリカン・シンフォニーの演奏後にはじんわり温かい気持ちになるはずです。
「陽のあたる教室」ぜひ一度観てみてください。おすすめです。
最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!
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