ヘレスフェスティバルで念願のマヌエル・リニャン作品「¡Viva!」を鑑賞!

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今年は例年よりヘレスのフェスティバルを楽しんでいます!

いつもは観たい公演があまりなかったりしたけど、今年は観たい公演が連続していたりで、ちゃっかり友達が泊まってるヘレスのアパートにお世話になりました。

そんな中でもひときわ観たかったのはこの公演。出演バイラオールが全員女装して化粧して踊るというマヌエル・リニャンの作品「¡Viva!」です。

今回は「¡Viva!」を観た気まぐれ日記をブログに綴っておこうと思います。いつもはフラメンコの感想は書かないことにしてるけど、これは自分の新鮮な気持ちを忘れないためにも書き記しておきたい。

まだ観ていない人はぜひ世界各地で上演される「¡Viva!」を観に行ってみてください。普段フラメンコに触れていない人にも本当におすすめします!

目次

マヌエル・リニャンの舞台作品「¡Viva!」

マヌエル・リニャンの舞台「¡Viva!」の存在を知ったのは、ちょうど1年前の2019年2月。

私がスペインに来ようと決意したきっかけになった、先生でもあり友達でもあるミゲル・アンヘル・エレディアが出演する劇場作品ということで知りました。

マヌエル・リニャンのことは知っていたけどこれまで作品を観たことはなく、単純に「ミゲルすごいじゃん!」という感想しか持っていなかった私。←バカと叱って。

初演はマドリードだったので観に行くことはなく、いつかアンダルシアで観られればいいな〜くらいにしか思っていませんでした。←これもバカと叱って。

単にマヌエル・リニャンの舞台というだけだったら、正直観に行ってなかったかもしれない。全員が女装して踊るという作品のコンセプト、ミゲルが出演するということで、観たい気持ちが増しました。

そして今回「¡Viva!」を観て、マヌエル・リニャンは踊り手としてだけでなく、アーティストとして、ディレクターとしても天才なんだなと思いました。いや〜本当にすごかった!

作品のコンセプト

「¡Viva!」という作品が生まれたきっかけについては、マヌエル・リニャンの公式ページに記載があるので詳しくはそちらを読んでいただきたいですが、

マヌエル・リニャンは幼少の頃、母親のスカートを履き、髪の毛を花で飾り、化粧をして隠れて踊っていたそうです。決して部屋の外には出て行かなかったその経験によって、この「¡Viva!」という作品が生まれたよう。

ミゲルに後で聞いた話ですが、マヌエルは子供の頃からこの作品のアイデアを持ち続けていたと言っていました。

性別が男性であることで男性としての踊り方やあり方をしなければいけないという、心との矛盾と長い間戦ってきたのでしょうか。

「¡Viva!」という作品は “Un grito a la libertad de la transformación(変容する自由への叫び)” であると書かれています。

そして最後はこのフレーズ。

“Queremos bailar de mujer”
女性で踊りたい

「¡Viva!」に出演する踊り手

「¡Viva!」は総合監督のマヌエル・リニャンを筆頭に、6人の男性舞踊手が出演する作品。

マヌエル・リニャンの公式サイトに記載されている順に書くと以下。

Manuel Liñán (マヌエル・リニャン)
Manuel Betanzos (マヌエル・ベタンソ)
Jonatán Miro (ジョナタン・ミロ)
Hugo López (ウーゴ・ロペス)
Miguel Heredia (ミゲル・エレディア)
Víctor Martin (cedido por el BNE) (ヴィクトール・マルティン)
Daniel Ramos (cedido por el BNE) (ダニエル・ラモス)

いずれもスペインはもちろん、海外でも活躍するアーティストたち。下の2名はスペイン国立バレエ団の踊り手で、フラメンコのバイラオールからバレエダンサーまで個性もさまざまです。

ヘレスのビジャマルタ劇場で「¡Viva!」が観られる!

ヘレスのビジャマルタ劇場

ヘレスのビジャマルタ劇場

ヘレスのビジャマルタ劇場で「¡Viva!」が観られることを知ったのは、昨年の確か2月。マドリードの初演を終えた後に、「来年はヘレスだよ!」ってミゲルから聞いたのだったと思います。

マドリードの初演後、「¡Viva!」は色々なところで上演されて、アンダルシアでもカディスとグラナダで公演があったけど、ぜひ初回はミゲルの地元ヘレスのビジャマルタ劇場で観たいと思い、長らくお預けにしていたのでした。

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やっとヘレスのフラメンコフェスティバルで「¡Viva!」が観られる!

ビジャマルタ劇場はヘレスの一番大きな劇場。毎年2月に開催されるヘレスのフラメンコフェスティバルでは毎日公演が開催されるメイン会場で、名だたるアーティストがビジャマルタの舞台に立っています。

ヘレスのフェスティバルのチケットは11月頃に発売開始だったのですが、「¡Viva!」は発売開始の数時間で瞬く間に売り切れ!

気づいた時には上の方の席しか残ってない!と焦ったのだけど、エラーで戻ってきた座席だったのか幸運にも4列目の真ん中席をゲットできました!

マヌエル・リニャンの『VIVA!』のチケット

我ながら思う強運

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2019年の強運がこのタイミングで良かった!

男性が女装して踊るということ

ヘレスのビジャマルタ劇場

開演前にドキドキしすぎてピンボケな劇場写真

「¡Viva!」に出演するバイラオールたちは男性舞踊手ですが、心は女性の踊り手さんたち。

“心は女性” という表現が正しいのかは自分でもわからないけど、男性が女装して踊るというだけでないと言いたかったのでそんな表現になりました。

女性のような身体や指の使い方、バタ・デ・コーラと呼ばれる裾が長い衣装やマントンを使った踊りなど、男性舞踊手が舞台ではやらないようなことを作品ではやっています。

むしろ、女性よりもしなやかで美しい身体の動きや色っぽさがあると感じました。と思えば、サパテアードやブエルタでは男性のような力強さがあります。

4列目とあって踊り手さんの表情も息遣いも全て見える。

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彼らの身体能力の高さと表現力に脱帽!

心が女性でそう踊りたいと思っても、実際そう踊るかは別。普段の踊り方と違って、舞台では指先や首の角度など、さらに妖艶に魅せているなと思った踊り手さんもいました。

女性のように踊りたいのに男性であるがゆえに、普段はそういう踊りを封印しなければならないこともあるのだろうな、性別によって彼らの表現の自由は奪われているのかな、性別と踊りってなんなんだろう…。

ミゲルからもそのような話を聞いたことがあったので、マヌエル・リニャンのソロの後に全員が集合するはじめの場面から目頭が熱くなりました。

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後でミゲルに「casi llorando(ほぼ泣いてた)」って言ったら、「casi(ほぼ)は悪いことだ!」って冗談で言われましたけど。「totalmente(完全にだよ)」って返しました。笑。

そしてマヌエル・リニャンの才能ってすごいなと思ったのは、各踊り手さんの得意な部分や個性を活かした采配を振っているところ。

サパテアード、バレエ、カンテ、即興、ブレリア、タンゴetc…それぞれの個性が際立っていて、全ての瞬間に釘付け

ミゲルのパートの部分、ミゲルはカンテに対して踊るから振付を決めることなく即興で踊りたいとマヌエルに伝えたそうです。マヌエルももちろん理解をしてくれて、本番のインスピレーションで踊ったそう。

総監督であり自分も舞台に立つマヌエルだけど、全員が主役と思えるような舞台を作り上げた彼の力量は、凡人の私には神の技としか思えません。

moni
こんな素晴らしく、印象的で、感動的な舞台をヘレスの地で観られたことに感激です。

心からスタンディングオベーションしました。

普段なら最後の挨拶はパシャりしてたりするけど、この日はカメラを出す時間ですらもったいないと思った。圧巻の舞台にできる限りの拍手を送りました。

世界各地で上演される予定の「¡Viva!」

これだけの舞台。世界の芸術ファンが見逃すはずはありません。

これまでにもスペインだけでなくメキシコ、ドイツなどで上演された「¡Viva!」ですが、今後も世界で上演の予定が決まっています。

2020/3/27 マイアミ(アメリカ)→中止
2020/4/3 ニューヨーク(アメリカ)→中止
2020/4/16-19 マドリード(スペイン)
2020/4/24 アルカラ・デ・エナーレス(スペイン-マドリード)
2020/4/25 サン・セバスティアン・デ・ロス・レジェス(スペイン-マドリード)
2020/5/17 ヴィースバーデン(ドイツ)
2020/6/6 ブルゴス(スペイン)
2020/6/30 ロンドン(イギリス)
2020/7/1 ロンドン(イギリス)
2020/7/25 Chateauvallon(フランス)→読み方わからなかった汗

現在までに公開されている公演。詳しくはマヌエル・リニャンの公式ページのスケジュールで確認してみてね。

何度でも観たい舞台「¡Viva!」

「¡Viva!」は本当に何度でも観たい舞台です!

ミゲルも言ってたけど、1度だけでは見えなかった細かい部分が何度も観ることでわかってくる。ぜひ何度も観てほしいとのこと。

「言われなくても観に行くよ〜」って心に誓って、次はどの公演に行こうか考えているところです。

普段フラメンコに触れている人はもちろん、フラメンコを観たことがないという人にもぜひ観てほしい舞台。作品としての素晴らしさ、彼らの美しさ、芸術性に溢れる2時間です。

日本では今のところ予定がないけど、日本でもぜひ上演してほしい!芸術を大切にしてくださる企業の方々、この公演を日本にも呼んでください!

ヘレスの公演のダイジェスト↓↓

Manuel Liñán, Directo al corazón from Festival de Jerez Televisión on Vimeo.

最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!

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この記事を書いた人

スペイン語とスペイン文化+αを学ぶため会社を退職して2015年〜2021年までスペインのセビージャ暮らし▷2024年東京大学文学部に学士入学して現在は美学芸術学専修の3年生。好きな言葉は「我々は無理をしない」のふなっしー推しなっし。多言語学習中。X(twitter)は悩める大学生活や勉強に関するポスト多め。

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