セマナサンタ(聖週間)とイースター(復活祭)はスペインの重要な宗教行事です。
セビリアは特にセマナサンタが盛んな地域で、毎年セマナサンタ(聖週間)の時期は大いに盛り上がっています。
私はセマナサンタの初歩的なところからよくわかっていなかったので、今年は友人に説明してもらって絶賛セマナサンタ勉強中。
忘れないためにも、スペインのセマナサンタ(聖週間)についての疑問解決や学習したことを記録しておこうと思います。
スペインのセマナサンタのこと知ろう
昨年スペインでセマナサンタを過ごしたときは訳も分からず大して興味もなかったので、家の近くを通るプロセシオン(procesión=行進)をちょっと見ておしまい。
だけど今年(2017年)は違う。できる限りプロセシオンを見に行って友達に色々解説してもらっています。
というのも、よく「セマナサンタ好き?」と聞かれるのだけど、そのたびに固まっていた私。そもそもセマナサンタのことよくわかってないから、意見がない。
セビリアに住んでいるのに、フェリアと並ぶ一大イベントのことを何も知らないのはどーかな。と思って勉強することにしました。宗教のことも少しは理解したい。
セマナサンタとは?
キリストは十字架に架けられて亡くなった後、3日目に復活しました。
木曜日(これは私の認識違い)金曜日にキリストが亡くなり、イースター(復活祭)と呼ばれる日曜日に復活します。
イースター(復活祭)とはこのキリストの復活を記念・記録するキリスト教で最も重要なお祭り・宗教行事で、セマナサンタ(聖週間)はその前の1週間です。
周囲の友達の話を聞いていると、この時期を全てひっくるめて全て「セマナサンタ」と言っている気がします。
スペイン各地でセマナサンタは行われていますが、セビリアのセマナサンタは最も有名とも言われています。
スペイン国内はもちろん、海外からわざわざセビリアのセマナサンタに来る人もいるくらいなのです。
スペインのセマナサンタの日程は?
セマナサンタ(聖週間)とイースター(復活祭)は毎年日程が固定ではありません。
春分の日の後の最初の満月の次の日曜日に、キリストの復活が祝われる
とされているので、毎年日程が変わります。
以下はある年のセマナサンタ(聖週間)のスケジュール例。
4月5日(日):聖枝祭(Domingo de Ramos)棕櫚という枝を持って歩く日
4月6日(月):聖月曜日(Lunes Santo)
4月7日(火):聖火曜日(Martes Santo)
4月8日(水):聖水曜日(Miércoles Santo)
4月9日(木):聖木曜日(Jueves Santo/Madrugá)一番多くの行進がある重要な日
4月10日(金):聖金曜日(Viernes Santo)
4月11日(土):聖土曜日(Sábado Santo)
4月12日(日):復活祭(Domingo de Resurrección)キリストが生き返る日
スペインのセマナサンタでは何をするの?
セビリアのセマナサンタでは、各教会が持つ豪華に飾り付けられたキリスト像とマリア像の台を、教会の信者たちが担いで教会からセビリア大聖堂まで持って行きます。
この教会と大聖堂までの行き来がプロセシオン(行進)です。
スペインではキリストをヘスス(Jesus)マリアをビルヘン(Virgen)と呼び、キリストの台はクルス(Cruz)マリアの台はパリオ(Palio)と名前が付いています。
キリストやマリアの表情は各教会によって異なり、自分が支持する教会や支持するビルヘンやマリアがいたりするのです。
特にマカレナのマリアとトリアナのエスペランサのマリアが人気がある印象。
セマナサンタの7日間のうち、各日6〜9個のプロセシオン(行進)があります。
木曜は昼と夜中の2回プロセシオンのタイミングがあるので、合計で50個くらいのプロセシオンがあるということ。かなり大規模な宗教行事ですよね。
プロセシオンよって異なる場面
プロセシオン(行進)のキリストの台は、キリストの受難(精神的苦痛を受けた場面)を表しています。
十字架にかかっていたり、手を合わせて祈るような姿だったりと、教会によってキリストの姿は異なりそれぞれ名前が付いています。
例えばLa Estrella(ラ エストレージャ)の手を合わせて祈っているキリストの姿は、“las penas” という名前が付いています。
キリストが十字架から倒れる姿は “tres caidas” という名前。La Esperanza(ラ エスペランサ)の “tres caidas” はコンパスを持っている(リズム感がある)と言われたりしています。
プロセシオンごとの行進の特徴
行進の仕方は各プロセシオンによって全然違います。
ゆっくり左右に揺れながら歩くもの、片足を前に出しながら歩くものと、プロセシオンごとに特徴を持って、音楽隊の演奏に合わせて行進します。
家の近くに教会があるので、年がら年中セマナサンタの練習しているのを不思議に思ってました。あの行進を見たら相当練習するんだろうなーと納得。
セビリアのプロセシオンはコスタレロ(担ぐ人)が台の真下にいて外から見えません。
つまり彼らは全く道路が見えない状態で行進してるということです。彼らの道しるべとして、「みぎー、ひだりー」と掛け声をかけている人が先頭にいます。
スペインの別の地域では、キリストやマリアの台を神輿みたいに担いで行進をしているところもあります。また、寸劇みたいなものが行われる地域もあるらしいです。
大聖堂の中では何をしてる?
「大聖堂ではプロセシオンは何をするの?」と不思議に思っていました。大聖堂の中は一般の人は入れないそうで、中を見ることはできません。
友達曰く、静まった空気の中ペニテンシア(penintencia=懺悔)を行っているとのことです。
このあたりの感覚がクリスチャンでないのでよくわからないのですが(汗)、静粛な場だということは理解しました。
雨が降った時のプロセシオン
セマナサンタでは、長い場合は12時間とかぶっ続けて練り歩くわけですが、雨が降ったらプロセシオン(行進)が中止になります。
これはキリスト像やマリア像が傷んでしまうからです。
プロセシオンが中止になった時の信者の無念さは大変なことです。成人男性であってもわんわん泣く。
先日キリスト像が有名なSan Gonzalo(サン ゴンサロ)のプロセシオンを見に行った時に、「2年間雨で中止でプロセシオンが見られなかったのでみんなすごく待ってた。」と地元の人が言っていて、確かに激混みでした。
スペインのセマナサンタで行進する人々
セマナサンタのプロセシオン(行進)の中には、こんな人たちがいます。
- コスタレロ(costalero):台を担ぐ人たち
- ナサレノ・ナサレナ(nazareno/a):三角の長い帽子のようなものをかぶった信者たち
- エルマノス(hermanos):信者たち
- バンダ(banda):コスタレロと共に歩く音楽隊
ナサレノ・ナサレナは多い教会だと2,000人以上。このナサレノ達の人数によって、キリストの台やマリアの台がどれくらいの時間に到着するか予測され、パンフレットにはその時間が記載されます。
ナサレノ・ナサレナは教会を出て大聖堂に行ってまた教会に戻ってくるまで、下手したら12時間ずーっと行進を続けます。
台を担ぐコスタレロは交代していますが、皆さん肩が腫れまくってます。音楽隊は交代なし。大変な重労働ですよね。
プロセシオンによっては音楽演奏がない場合もあります。自身の音楽隊を持っていない教会もあり、その場合は他の教会の音楽隊を借りるそうです。
ナサレノ・ナサレナは誰でもなれる?
ナサレノ・ナサレナ(nazareno/nazarena)は、その教会に契りをしている人しかなれないそうです。
昔は男しかナサレノになれなかったようですが、教会に契り(登録)をしている期間が長い程、キリストやマリアの近くで行進できるそうです。
つまり、子どもの頃から契りをしていれば大人になった時のセマナサンタでキリストの台の横で行進ができる可能性が高いということだね。
ナサレノ・ナサレナの帽子の色はなぜ違う?
各教会ごとにナサレノ・ナサレナの三角の帽子のデザインや色が異なります。
ナサレノ・ナサレナは一見ギョッとする格好をしていますが、彼らが歩いているとセマナサンタらしさを感じる光景だなと感じます。
セマナサンタで歌われる「サエタ」
サエタはセマナサンタの行進中に歌われる歌です。歌詞はキリスト、マリアに対してそれぞれ捧げるもの。
行進が止まった際に、バルコニーからサエテーロ/サエテーラ(saetero/a)がサエタを歌います。この時は音楽演奏はなく、シーンっとなります。
サエタは「矢」を意味するスペイン語。静寂の中でサエタが歌われる瞬間は独特の雰囲気があります。
サエテーロ/サエテーラ(saetero/a)はサエタの歌い手ですが、フラメンコの歌い手であることもあります。
昔はアントニオ・マイレーナやパストーラ・パボンといった有名なカンタオール/カンタオーラがサエテーロ/サエテーラだったそうです。
セビリアのセマナサンタを見る時の注意点
セビリアはセマナサンタが有名なので、セマナサンタの時期は多くの人がセビリアに滞在します。一度セビリアのセマナサンタを見たい!という人もいるかもしれません。
セマナサンタを見にセビリアに来る場合に気をつけた方が良いことをご紹介します。
プロせシオンを見に行く時の服装
セビリアのセマナサンタではプロセシオン(行進)を見に行く際は、結構な確率でみなさん正装しています。
女の子ならワンピースやオシャレなシャツとパンツを着て、男性はジャケットを羽織って革靴。スペイン人はセマナサンタを神聖な気持ちで見ていることがわかります。
普段着で行っても問題はないですが特に重要な木曜日の夜は浮くかもしれないので、周囲に合わせてそれなりにきちんと見える格好で行った方が良いと思います。
「マドゥルガ」と呼ばれる木曜日は、敬虔なカトリック教徒は喪服で来る人もいるそう。女性なら黒いベールに黒いペイネタなど。
喪服で行く必要はないと思うけど、そういう人もいることを配慮した方が良さそうです。
人混みでは荷物に注意
大きな教会のプロセシオン(行進)がある日や、教会の出入り口は人でごった返しています。
そんな人混みを狙ったスリがいるのでご注意を。多額の現金は持ち歩かずに、荷物はきちんと抱えて持っておきましょう。
私もスペイン人の友達から「荷物しっかり持ってね!」と言われました。
なお、教会付近でイエスやマリアの発着を前の方で見たかったら、かなり早くから場所取りをしなければいけないです。早めに現地に着いておきましょう。
ホテルの予約は早めに
セビリアのセマナサンタはスペイン全国各地、さらには海外からも観覧客が訪れることもあり、セマナサンタの時期のセビリアのホテルやオスタルハ料金が1.5〜2倍に跳ね上がります。
それでも宿泊施設は埋まりやすく、開催日程が近づいてくると高額なホテルしか残っていないこともあるので、早めに予約するのがおすすめです。
バルも値上げ
料金が上がるのはホテルだけじゃない。プロセシオン(行進)の通り道のバルも便乗して値上げし、普段はタパスが食べられるのにセマナサンタの時期は大皿料理だけということがありました。
セマナサンタ目的でなくこの時期にセビリアを訪れてしまった場合は、人混みとバルの特別料金で苦しむかもしれないです。
普通の観光目的でセマナサンタの時期にセビリアを訪れるなら、混雑や値上げがあることを理解しておきましょう。
スペイン人のセマナサンタに対する思い
スペイン人の友達が言っていました。
マリア像を見て自分が幸せな時は彼女も幸せに見えるし、自分が悲しい時はマリアが寄り添ってくれている気がする。
実際にキリストやマリアを見て涙している人を何人も見ました。マリア信仰が強いスペインではマリアの姿に自分を重ねる人も多いようです。
また別の友達はこう表現していました。
セビリアのセマナサンタは特別。芸術と感情に溢れている。
スペインの人々にとってセマナサンタは特別なものだということが、素人の私でも感じ取れました。
セマナサンタに食べるお菓子
スペインでセマナサンタの時期にだけ食べるトリハス(torrijas)というお菓子があります。
トリハスとは、パンを牛乳とワイン(人によってはシナモン)に入れて浸して卵をつけて揚げ、最後に蜂蜜をかけるというフレンチトーストみたいなお菓子。
スペイン人の友達が作ってくれたトリハスを食べたのだけど、おいしかったです。おやつになりそうな感じ。結構何個もイケました。
なぜセマナサンタの時期だけトリハスを食べるのか謎ですが、スーパーでトリハス用のパンが売られ、バルでもトリハスが食べられます。
セマナサンタの時期にスペインに来たら、ぜひ季節もののトリハスを食べてみてください。
スペインでセマナサンタを見るコツは詳しい人と見ること
ここまでが今年、今日までで勉強したことです。
私にはほぼ全てが新情報で「わーなんと難しいセマナサンタ!」と思いましたが、スペイン人はクリスチャンでなくても、セマナサンタが嫌いな人でも、これくらいの基礎知識は持っているそうです。
なので、私はやっとスタート地点に立てた感じ。
セマナサンタを知るためのコツは、セマナサンタのことをよく知っている人、経験がある人と一緒に見るに限ります。
セマナサンタをよく知る「セマナサンテーラ」に解説してもらいながら見ると、よく理解できるし彼らがどういう気持ちでこのイベントを迎えているのかも感じ取れるはず。
木曜日の夜にはマカレナやトリアナなどの大型プロセシオンがあります。この記事が、セビリアでセマナサンタを見る人のお役にたちますように。
最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!
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