セビリアのセマナサンタ2017で起きた恐怖のパニック

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2017年セマナサンタ中のセビリアの街中でそれは起きました。

大勢の人が叫びながら一斉に秩序なく走り出し、あたりはパニックに。

本当に怖かった。私がスペインで体験したことの中では最悪の出来事です。

目次

過去にもあったセマナサンタのパニック

セビリアのセマナサンタでパニックが起きたのは初めてではないそうで、過去2015年と2000年に起きています。今回の2017年のパニックはテレビやネットのニュースでも取り上げられ、少なくとも8人の逮捕者が出ていると言います。

ネガティブなことなので記事にするか迷いましたが、セマナサンタの時期に観光や留学で滞在する日本人もいると思うので、「こういうこともあったのよ」と知っておくだけでも何か違うかなと思い、記事に残します。

セマナサンタMadrugáの重要なタイミングで起こった

セビリアのセマナサンタで最も重要と言われる日、木曜から金曜に日付が変わった「Madrugá」に行われる行進の最中にパニックは起こりました。

時間は2017年4月14日(金曜になってた)夜中の4:10頃

セビリア市内の各教会から全てのプロセシオンが出てきていて、街中を行進をしていました。

セビリアのセマナサンタのシレンシオの行進

私は2:30にロス・ヒターノス(Los Gitanos)のプロセシオンを見た後、クーナ通り(C/Cuna)でシレンシオ(El Silencio)のプロセシオンを見ていました。

シレンシオのプロセシオンは、真っ黒い衣装のナサレノ(頭巾かぶっている信仰者たち)とキリストがもの悲しげな音楽と共に歩きます。シーンと静まり返った静寂の中、次の目的地へそろそろ向かおうかと表通りに出た瞬間に事件は起きました。

後方から

「走れー」

「発砲だ」

とか叫びながら全速力で走ってくる人たち。

そのあまりの勢いと人数にびっくりして、思わず私も走りました。全速力で。どこに行けばいいのかもわからず友達と走って、途中で転んで出血して、でも走って・・・。

日本のニュースでは「テロと勘違いした人たちが走り出した」と言っていたそうですが、勘違いする間も無く、なんというか本能で走り出しました。

走らなきゃやばい!

みたいな感じです。

何が原因で皆が走り出したのかわからない

セマナサンタ中のセントロは通行止めがたくさんあるので、通行止めにぶつかりました。

同じく走ってきた人たちに「何があったの?」と聞くと、「ピストル持ってる人がいるって言ってた」とか「誰かが走れって言ってたから走ってきた」と言います。私もその一人です。

でも、発砲の音を聞いた人は誰もいないし、何か具体的な被害はなさそうでした。

震えが止まらない友達と私。テロとかある時代だし、外国だし何が起こるかわからないな、と思いながら、友達の手をつなぎ気持ちを落ち着けていました。

シレンシオのプロセシオンって全身黒で静まり返ってるからすごく怖いんです。それがさらに恐怖を助長していたってのもあります。

あー怖かった瞬間が蘇る。

ざわつく人々

通行止めのところにいてもしょうがないし、何もなさそうだからとりあえず目的地の方に向かおうと私たちは再び歩き始めました。表通りに出たら先ほどのシレンシオのプロセシオンは固まっていて、通りがざわついていました。

通りを歩いている人は皆この話をしていました。

「ナサレノも頭巾を放り投げて逃げてた」とか「喧嘩が発端らしい」とか「同じ時間に複数の場所で起きているらしい」とか、いろんな噂が飛び交っていました。

2回目の走れ!パニック

目的地に向かって再び歩き始めて10分程経った時、またその瞬間が訪れました。今度は表通りではなく、そこまで人通りが多いわけではない裏通り。

真正面から若者たちが全速力で走ってきました。「走れー!」と叫んでいます。

「えっまた!?」とか思ったのですが、友達が「走るよ!ほら!」って言ってきたので50mくらい走りました。そしたら正面からも走ってくる。「えっどっちも!!??」と思って焦ったのですが、ある若い男子の

「走るな」

の一言でハッと思い走るのをやめました。

彼は、友達がこのパニックで気分が悪くなり道にしゃがみ込んでしまっていて、その友達に水をあげていました。

「みんなが走るからパニックになるんだよ。みんな落ち着いて!」

と言っていました。よく考えればその通り。

怖くて帰りたい

何が原因か知らないけど、いろんな人がこのパニックの話をそこかしこでしていました。

同じ時間に複数場所で起きているなんて怖すぎる!

友達に「どうする?この後」と聞かれて、正直帰りたいと思いました。でも、一人で家まで帰る道もそれはそれで怖い。心臓はずっとドクドク。タスケテー。

とりあえず大通りに出ようと友達を相談して、大通りに出たら混乱している人たちがたくさん。子どもは泣いているし、年配の男性は気絶しかけてるし、泣きながら家族に電話している人も。

友達が「何があったかご存知ですか?」と近くのセニョールに聞いたら、彼はこう言いました。

「悪いイタズラをしている奴がいるだけ。皆走ってるけど原因が何か誰もわかってないし、誰も何も見ていない。何かあっても走らなくていいから。」

セニョールの言葉に少し落ち着きを取り戻した私たちは、少しだけ続きを見てから帰ることにしました。その後2つのプロセシオンを見たけど、やっぱりどうしても穏やかな気持ちで見ることができまず、朝6時頃に帰ることにしました。

帰りのタクシーの運転手さんに話したら、「タクシーが通るような場所はセマナサンタの行進がないところだから詳細は知らなかった」とのこと。運転手さんも「初めてじゃないと思います」と言っていました。

降り際に「落ち着いてお休みできますように。」とタクシーの運転手さんが言ってくれて、少しホッとしました。

セマナサンタのパニック事件の詳細

帰ってから悪い意味での興奮が収まらず寝付けなかった。

翌朝出ていた複数の記事によると、逮捕された人たちが突然叫んだり(アッラーは偉大なりと言ったとか)、持っていた金属で音を出すなどして周囲の人を脅かし、周囲の人がビックリして急に走り出した。

それが連鎖となって大パニックになってしまった。

逮捕者は今のところ8人で、中には前科がある人もいるようです。詳細は引き続き調査中とのこと。

複数場所で同時に走れパニックが発生したというのは本当でした。

サルバドール、レジェスカトリコ、クーナ通り、ドゥケ広場、ポスティゴとどこも人が多く集まる場所で、プロセシオンがその通っていた場所で事件は起こっていました。

私の友達はマカレナでプロセシオンを見ていて、「マカレナでも起きた」と言っていましたし、帰りに話した警察官によるとトリアナの橋周辺でもたくさんの人が走っていたそうです。

ナサレノもこの異常事態に業務を遂行できなかった模様。ナサレノにはもちろん子どももたくさんいますので、訳が分からなくパニックになったと思います。演奏を続けることができなかった音楽隊もいたようです。

パニックになると何も考えられない

こういう経験を初めてしました。

人って混乱すると、それが周りにすごく連鎖するんだなと思いました。

私も何もわからず走ってたので、それにより他の人のパニックを引き起こしていたと思います。

このニュースに関するスペインのある記事で「セマナサンタがどういう場所かシチュエーションかを一人一人が考えれば、あのようなパニックは起こらなかったはず。」と書かれたものがありました。

急に皆が叫んで走り出したあの状況を見たら、冷静に「いや、大丈夫っしょ」なんて考えられないだろうと私は思ったのだけど、あるご婦人が「マリア様の前ですよ。みなさん落ち着いて。」と言っている映像を見て、なるほどそういう考えなんだなと理解。

ただ、私はやっぱり冷静に思考するのは無理だったと思う。

だって「発砲だ!」とか言っている人がいる時に、「セマナサンタでそんなことあるわけないじゃん、落ち着け!」ってその場で思考できるかな。慣れてる人だったら思えるのかな。私は恐怖しかなかった。

もうとにかく逃げるしかない。みたいな。

今はセマナサンタで同様のパニックがあったことを知ったので、同じシチュエーションになった時に少しは落ち着けるかもしれない。けど、やっぱりとっさに走っちゃう気がする。。。

後日一緒にいた友達と会った際に、「あの時、顔真っ白だったからすごい心配した」と言われました。小心者だからすごくビビってたみたい。

セマナサンタでは起こり得る事態

テロ騒ぎとも勘違いされたセビリアのセマナサンタは、初めてではありません。過去にも2回起きてます。

今後も同じようなパニックが起きないとも言えないので、パニックになった際に少しでも冷静に判断できるようにしたい。冷静になりたいけど、身の危険を感じたらもちろん走ります。

ちなみに走っている最中、大きく転倒して膝を負傷しました(汗)。

起き上がる時、持っていた大きめのバッグを置いてけぼりにするか一瞬迷ったんだけど、「NOOO. バッグには大切なお金や、iPhoneやサンドイッチが入ってるー。。。!!!」と思い、バッグと共に逃げました。

セマナサンタに行く時は、バッグは軽量なやつの方がいいと思います。これは真面目なアドバイスです。

最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!

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この記事を書いた人

スペイン語とスペイン文化+αを学ぶため会社を退職して2015年〜2021年までスペインのセビージャ暮らし▷2024年東京大学文学部に学士入学して現在は美学芸術学専修の3年生。好きな言葉は「我々は無理をしない」のふなっしー推しなっし。多言語学習中。X(twitter)は悩める大学生活や勉強に関するポスト多め。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • ニュースをみて、一体何が起きたのかと検索したらこちらのブログにたどり着きました。
    大きなお怪我などなくて何よりです。
    さぞ怖かっただろうと思います。
    ニュース映像では、なぜ人が走り出すのか全くもってわからず
    体験をシェアしていただいて
    状況が理解できました。

    やっぱり誰かが叫んだりしたんですね・・・

    こんな厳かなお祭りで、しかも木曜の夜の大事なプロセッションで
    こういうことをするなんて
    ひどすぎます。

    どうぞmoniさんがすぐに心穏やかな日常に戻られますように。

    • >あんこ様
      コメントありがとうございます。
      大半の人が訳わからず走っていたと思います。最初の人たちは犯人に脅かされて走り出し、それが大きな連鎖になったようです。
      あまりの大群で叫びながら迫ってきたので、とっさに危険を感じて私も走り出してしまいました。「走らないで、大丈夫だから!」と冷静に発してくれる人がいると我に帰るものですね。

      多くの人が神聖な気持ちで出かけるセマナサンタでこういう事件が起きたのは残念です。怪我をした人、体調悪くした人もいるし、騒動の後怖くなって家に帰ってしまった人もいます。プロセシオンもその瞬間は中断せざるを得なかったし、怖い思いをしたナサレノ達もたくさんいたと思います。

      今日たくさん寝たので、今は落ち着いています。ありがとうございます。今週末は家でおとなしくしてようかなーと思います。

  • 私はヘレスで何回かセマナ・サンタを見ました。こんなことはなかったけれど、もし、あったらやっぱり私もパニックになって走ったと思います。キリスト教徒の行事だから、余計、テロに合いそうな気もするし・・・。怖いですね。冷静にならなければとは思いますが、もし、本当にテロだったら?ってやっぱり思ってしまいます。全然知らなかったので、こうゆう情報を発信して頂いて、ありがとうございます。

    • >柿崎祥子様
      コメントありがとうございます。
      大きな宗教行事でものすごい人出だったので、まさに一瞬「テロだったらどうしよう?」と考えました。
      実際に「走れ〜」と人々が迫ってきた時は何も考える余裕がなかったのですが、同時に複数場所で起きているという話を聞いた時に「この後もまだ何か起きるのではないか」と思い、一気に怖くなりました。情報が錯綜していたので判断が難しかったです。いたずらにしてはタチが悪すぎだろうと思いましたし。。。
      アンダルシアって田舎だからなんとなく呑気に過ごしてしまいがちですが、こういった重要なイベントの時は気をつけていなければならないですね。
      この情報がどなたかの役に立てばと思い、記事に残しました。もうこういうことが起きないよう祈ります。

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