フラメンコは音楽なのか舞踊なのか

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人文系大学院生(修士1年)のmoniです。

卒論はフラメンコを題材に即興演奏について書いたのですが、フラメンコを音楽としてとらえるか、舞踊としてとらえるか迷いました。どちらとしてとらえるかによって、先行研究として読む文献や、議論の方向性が変わりそうだと思ったからです。

考えた結果、卒論ではフラメンコを音楽としてとらえることにし、音楽を中心に先行研究を読んでいきました。

今年修士課程に進学して先行研究を読んでいるわけなのですが、ここにきてまた「フラメンコを音楽としてとらえるか、舞踊としてとらえるか」問題が浮上しました。自分の現在の関心と照らし合わせると、舞踊性は外すことができないのではないか?と思ったのです。

「フラメンコは音楽なのか、舞踊なのか」という問いは、読んでいく文献の選択にもかかわることなので、現在も迷いの中にいます。というわけで、研究題材のスコープに悩んだときの考え方を整理してみたいと思います。

目次

「フラメンコは総合芸術である」という難題

卒論でフラメンコを題材として扱ったと書いておきながらあれなんですが、私の研究関心はフラメンコそのものではありません。フラメンコはあくまでも研究テーマのなかの材料です。

つまり、フラメンコがどういうもので、どのような歴史をもち、社会でどのようにとらえられ、人々とどのようにかかわっているか、というようなフラメンコを深掘りするような研究をしているわけではないということです。

私は特にパフォーマンスにおける「即興」という行為に関心をもっていますが、それを考察していくための題材として卒論ではフラメンコを取り上げました。修士でもフラメンコを題材にしようかと考えています。

そうすると、フラメンコにかんする先行研究というよりも、パフォーマンスや即興というキーワードで先行研究を読む必要が出てきます。

フラメンコは音楽でもあり舞踊でもある総合的な芸術だと言われればそうだと思うのですが、一方で、対象がどういうものであるかと、研究テーマに合わせて対象をどのように取り扱うか、は別なことだと思います。

研究テーマに沿ったキーワードをもとに文献を読むにあたって、題材となるフラメンコを総合的な芸術として文献を探していくと対象範囲が広がりすぎる、対象がぼやけるという課題がありました。

たとえば、野菜やドレッシングというキーワードで、サラダを題材に論文を書きたいとします。

「サラダとは料理である」ととらえると料理にかんする文献を探すことになりますが、そうすると、料理を論じた文献は多すぎる、食材が使われていればすべて料理になって料理にいろいろなものが含まれすぎる、野菜やドレッシングとの関連を深掘りしにくい、みたいなことが起きます。

そこで、「サラダは前菜である」「サラダは水を使わない料理である」のように絞った方が文献が見つけやすいし、自分のテーマから離れず先行研究を読んでいくことができると思います。

ということで、フラメンコは総合的な芸術であるという一般に理解される言説はそれとしておいておいて、先行研究との接続をはかるにあたり、フラメンコは音楽なのか、舞踊なのか、改めて考えなくてはならないと思ったのです。

フラメンコは音楽

フラメンコの実践者や愛好者は、フラメンコを音楽としてとらえている人が多いのではないでしょうか。

日本では「フラメンコは歌、ギター、踊りの三位一体」だと言われたりしますが、はじまりは歌からです。そのあとにギターがついて、最後に踊りがついた。だから、フラメンコは音楽としてはじまっています。

歌だけでもフラメンコのパフォーマンスは成立します。しかし、舞台作品を除き、伝統的なスタイルのパフォーマンスの場では、踊り手だけでパフォーマンスは成立しません。

また、フラメンコにおける踊り手の役割は歌やギターに合わせて踊る人というよりも、指揮者に近いものだと私は思っています。

オーケストラは指揮者が指揮を振るという行為をつうじて音楽的な対話を進行させますが、フラメンコにおいてはその役割を踊り手が担っているからです。踊り手は身ぶりや舞踊表現をつうじて、指揮者のように音楽的な対話を進行させるのです。

歴史的な過程と演奏実践を考えると、「フラメンコは音楽である」ととらえることが自然のように思えます。

フラメンコは舞踊

一方で、歌のソロやギターソロを除き、踊り手が存在するフラメンコのパフォーマンスにおいては、舞踊性は重要な要素となります。

なぜなら、先述のように、踊り手は身ぶりや舞踊表現をつうじて音楽的な指揮をとり、パフォーマンスを進行させていて、そのような踊り手の舞踊性がパフォーマンス成立の前提となっているからです。

そして、私の研究テーマにおける題材としてのフラメンコは踊り手が参加するパフォーマンス形態であるので、その舞踊性を無視することはできません。

ただし、音楽が先に存在していてそれに対して踊りを合わせていくスタイルだと、フラメンコの舞踊性とは異なるものになってしまうというジレンマがあります。

スコープを広げる

「フラメンコは音楽なのか、舞踊なのか」という問いについて明確な答えを持っているわけではないし、どちらの視点も必要な気がしているので、現時点ではどちらか一つを選択することはせず、音楽と舞踊のどちらの文献も読んでいます。

卒論では音楽にかんする文献を多く読んでいたので、そこに舞踊が追加された感じ。最近は舞踊の文献を読んでいることが多いけど。

対象が広くなりすぎそうなとき、対象を絞った方がよいのかなと考えたときは、自分の研究テーマとのつながり、そして今後そのテーマをどのように育てていきたいか、を考えると良いのかもしれないです。

当面は音楽、舞踊のいずれの文献も読んでいき、研究テーマと結びつけていきたい。

こうやって研究の関心やスコープって広がっていくのかなー。なんて考えたひよっこ院生でした。

最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!

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この記事を書いた人

スペイン語とスペイン文化+αを学ぶため会社を退職して2015年〜2021年までスペインのセビージャ暮らし▷2024年東京大学文学部の3年次に学士入学で編入。2026年に修士課程に進学し、現在は人文社会系研究科の修士1年生。専門分野は美学芸術学。好きな言葉は「我々は無理をしない」のふなっしー推しなっし。多言語学習中。日記はnoteに書いてます。このブログについての詳細はこちら

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