フラメンコは振付を踊らない「振付を作る」違和感と“recurso”の必要性

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フラメンコは振付を踊るものではない。

というのは、フラメンコさんたちにはある意味あたりまえ体操でもある感覚かもしれません。

以前にフラメンコで「即興する」とはどういうことか、個人的な意見を記事に書きました。今回は、その流れでフラメンコの振付について考えてみたいと思います。

振付を踊らないなら、クラスで習っているものは何なのか?スペインのクラスでよく聞く “recurso” という言葉と振付の違いは?

など、日頃から悶々と考えていることを文字に起こすことで自分の頭を働かせようという作戦です。しばしお付き合いくださいませ。

目次

フラメンコは振付を踊らない

タブラオやフラメンコのペーニャで踊る時、最初から最後まで決められた振付を全部そのまま踊ることはありません。

以前に「即興」についての記事を書いた時にも触れたのですが、即興はフラメンコの魅力的な部分の一つであり、フラメンコらしさを感じる部分でもあります。

他の踊りではもしかしたら振付を全部決め、音楽に合わせて踊るということがあるかもしれませんが(他の踊りをやったことがないから想像です、違ってたらすみません)、1から10まで決まった振付をなぞるということは、フラメンコではまず行われません。

ただし、発表会や大きな劇場での公演(特に群舞)の場合は別の話。

振付なしに発表会を行うことはないと思いますし、発表会の群舞でそんなことしたら崩壊します。タブラオやペーニャで一人で踊ることを想定して書いています。

「振付を作る」の違和感

一人で踊る機会をいただいた最初のうちは、ガチガチに「振付を作って」臨んでいました。

振付を作ったというよりかは、習った振付をそのまま踊るか、習ったものを並べ替えたりして踊るそもそも「振付を作る」とまでも言えない段階。

しかし、スペインでクラスをたくさん受け、アーティストたちに話を聴いたり、タブラオやペーニャなど色々な舞台を見て思いました。

決まった振付を最初から最後まで踊るのはフラメンコではない。

即興性はフラメンコのとても重要な部分です。

カンタオール/ラがどんな歌をどのように歌うか、ギタリストがどんな風に弾くか、は舞台に上がってみないとわかりません。

同じ歌でも語尾が伸びるかもしれないし、思ってたとの違う歌が来るかもしれないし、何よりも振付を踊っていたらそのことに一生懸命になって歌やギターがバックミュージックのようになってしまう。

三者でコンパスを楽しむ空気がなくなったら、もはやそれはフラメンコから程遠い。

それに、振付をなぞるだけの踊りは、予定調和な単調なものになってしまうような気がする。

moni
「あっ!」と驚く期待を裏切られる瞬間も、フラメンコの魅力の一つだから。

「振付を作る(最初から最後まで決まった振付を踊る)」ことはしないのだなと、スペインに来て初めて気づいた次第です。

クラスでよく聞く “recurso” とは

moni
振付を決めておかないなら、全て舞台上で即興しろというのかー!そんなの無理!

かつての私がモヤモヤ考えていたことはこれです。

振付なしで即興で舞台で踊れる人たちを魔術師だと思ってました。実際、舞台上でいくらでも即興できる魔術師のようなバイラオール/ラたちはいるんですが…。

私のようなパンピー(死語?)はどうすれば良いかというと、クラスでよく聞く “recurso(レクルソ)” というやつを意識します。

スペイン語 “recurso” とは、日本語に訳すと資源とか方策という意味。

つまり「即興で踊れるようにするための資源をいくつか持っておけ」ということです。資源とはマルカへレマーテなど。

クラスで最初から最後まで振り付けを教えてくれる先生もいますが、その流れの通りに踊りなさいというわけではなく、こういう歌の時はこんなマルカへができるよ、こんなレマーテも合うかもね、と自身の経験や感覚からアドバイスしてくれているんです。

振付を踊るのではなく、歌やギターに合わせて対応できるような “recurso” を持つこと。

moni
これが舞台での自由度につながるということなのだね。

“recurso” の引き出しの豊富さもさることながら、 “recurso” の使い方が即興性の鍵。

ただ単に歌のいい感じのところに “recurso” を当てはめればいいわけではないから、これを実践しながら学ぶのがタブラオやペーニャのような場なのだと思います。

この “recurso” を持つとはとても難しいことでして、まず普段相当練習して腹落ちしていないととっさに舞台の上で出てきません。

昨年日本で踊る機会をいただいて、あんなにいつも練習しているはずなのに本番って何もできないもんだな〜と撃沈しました。ちーん。

moni
振付を作らずに臨むというのは、こんなにもしどろもどろになるのね…!

“recurso” を意識すると言っても、本番で出てこなきゃ意味がない。だったら決まった振付を完璧に踊る方がマシなのかもしれない。

でも最初から最後まで全部決めた振付を踊ることはやめようと思ったので、“recurso” を使った即興の踊り方になんとか取り組んでいきたいとナウ思っています。

さらなる課題は自分のパソを持つこと

スペインでクラスを受けていて先生であるアーティストたちに言われるのが、「自分のパソを作りなさい」ということ。「人から習ったものばかりをやっているうちは、プロのバイラオーラとは言えないよ」とのこと。汗。

バイレをやっているフラメンコさんは共感していただけると思いますが、これはかなり難しいことです!

以前受けたクラスで、自分のパソを作っていかなければいけないことがありました。

moni
作っていったけど、なんか不十分でした。泣。

これはだいぶ先になるかな…と今私が思っている課題です。取り組まなければ。でもどうやって…。

最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!

関連記事 ▷ フラメンコにおいて “improvisar” するということ。即興の意味を考える。

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この記事を書いた人

スペイン語とスペイン文化+αを学ぶため会社を退職して2015年〜2021年までスペインのセビージャ暮らし▷2024年東京大学文学部に学士入学して現在は美学芸術学専修の3年生。好きな言葉は「我々は無理をしない」のふなっしー推しなっし。多言語学習中。X(twitter)は悩める大学生活や勉強に関するポスト多め。

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