フラメンコとカンテの理解を深めるために聴くカンタオール&カンタオーラ一覧

フラメンコとカンテの理解を深めるために聴くカンタオール&カンタオーラ一覧




スペインでフラメンコのアーティストたちから最もよく言われる言葉。

Hay que ser aficionado/a del flamenco.
フラメンコを好きにならなければならない。(愛好家でいなければならない)

そしてこう続きます。

Hay que escuchar mucho el cante.
カンテをたくさん聴かなければならない。

歌を勉強している人だけではなく、踊り手も、ギタリストも、フラメンコを勉強している人は全てカンテを好きになり、日常的にカンテを聴くことが大切!

カンテを理解することがフラメンコを理解し、踊る、弾くことにもつながるのですね(^^)

フラメンコを愛する人が聴きたいカンタオール/カンタオーラを集めました。自分の備忘録のためにも書いているので、随時更新していきます。

フラメンコのアフィシオナードであるということ

スペインでフラメンコのクラスを受けたりフラメンコのアーティストたちと接していて、みなさん口を揃えて言うのが「アフィシオナードであれ」という言葉。

どんなに技術を磨いても、アフィシオン(フラメンコへの愛情)がなければそれは技術の結果でしかないし、そこにフラメンコが見えない。

そしてフラメンコのアフィシオナードであるとはつまり、カンテ(歌)のアフィシオナードであることです。フラメンコはカンテから生まれたものだから。

今回このブログ記事を書こうと思ったのは、昨日私がツイートした以下に対しての質問がきっかけになっています。

フラメンコを学び始めたばかりの大学生の頃、今は亡き先生のカンテのクラスにちょこちょこ通っていましたが、カンテの重要性をそこまで理解していなかったように思います。

曲種の理解やカンテを歌い伝えたカンタオール/カンタオーラたちの理解まで深く掘り下げることがなかった。それを今とても後悔しています。

そんな後悔を含めたツイートに対して、とあるフォロワーさんからこんな質問をいただきました。

何から聴いたらいいのか分からずとりあえず聞いたことある歌い手の名前検索して聴くっていう手探り状態なんですけどおすすめとかこの人のこれは聞いた方がいい!とかありますか?

で、ズラリと自分がよく聴くアーティストの名前を連ねてみたのだけど、これはどこかにまとめておきたいと思いました。自分のためにも!

というわけで現在この記事を書いています。

フラメンコ好きが聴くべきカンタオール&カンタオーラ

フラメンコを愛する人なら聴いておきたいカンタオールとカンタオーラを、思いつく限りで箇条書きにします。

今思い浮かばない人が漏れていたらすみません!随時追加します。

セビリア県(ウトレラ、モロンなど)のカンタオール/カンタオーラ

セビリア県(ウトレラやモロン、周辺の村含む)のカンタオールやカンタオーラを集めました。トリアナのアルテはまだまだ開拓しきれていない感じ。もっとたくさん聴いてみなければ。

Fernanda de Utrera(フェルナンダ デ ウトレラ)
フェルナンダはソレアの女王と呼ばれるウトレラのカンタオーラ。CDやYouTubeに録音されているものはソレアやブレリアが多いです。ファンダンゴ・ポル・ソレアと呼ばれるファンダンゴの歌詞をソレアのリズムに乗せて歌ったりもしています。ピニーニ一族で、カンティーニャ・デ・ピニーニもレパートリー。フェルナンダが歌った歌詞のカンテをカンタオール/ラは多いので、聴いたことがあるものも多いはず。感情溢れる表現に心が掴まれるカンタオーラ。

Bernarda de Utrera(ベルナルダ デ ウトレラ)
フェルナンダと2人でウトレラ姉妹と呼ばれるベルナルダは、ブレリアが得意だったそう。コプラ(copla)と呼ばれるような歌謡曲的なものをブレリアのリズムにして歌ったりもしています。姉のフェルナンダと共同で録音された音源も多いです。

La Niña de los Peines(ニーニャ デ ロス ペイネス)
ニーニャ デ ロス ペイネスはまたの名をパストーラ パボンと言います。「Al gurugu〜♪」のタンゴの印象が強い人も多いはず。カンテのぶらんこと言われるバンベーラをニーニャ デ ロス ペイネスが歌ったものがあります。現在踊られているバンベーラとは全然違うので聴いてみてください。確かにぶらんこっぽい。セビリア生まれのカンタオーラでアラメダに銅像あり。「De Mi Moreno」というアラメダのブレリアも歌っています。

Joselero(ホセレロ)
ホセレロはセビリア県の村プエブラ・デ・ラ・カッサージャ生まれのカンタオール。モロンを代表するギタリスト ディエゴ デル ガストールの(確か)妹と結婚していたので、ディエゴとは義兄弟です。だからディエゴのギターでよく歌っているのですね。ソレア、ブレリア、シギリージャ、マラゲーニャ、タンゴなど幅広く歌い、奥さんの家族からもよく学んでいたそうです。息子にはギタリストのディエギート デ モロン、フェステーロのアンドラーノ、娘にバイラオーラのアンパロ、そして孫はバイラオールのぺぺ トーレス(我らが師匠!)とアルテ溢れるフラメンコ一家のお父さん。

Juan Talega(ファン タレガ)
ファンタレガはセビリア市のお隣ドスエルマーナス生まれのカンタオール。叔父ホアキン デ ラ パウラ(Joaquín el de la Paula)が歌ったアルカラのソレアを継承したと言われ、友達だったアントニオ マイレーナはファン タレガによって消えつつあるスタイルを再度呼び戻したそうです。ホアキン デ ラ パウのアルカラのソレアは多くのカンタオール/ラが歌っていますが、ホアキン デ ラ パウラ自身が歌ったものを私は聴いたことがありません。

Manolito de Maria(マノリート デ マリア)
マノリート デ マリアはファン タレガのいとこ。ファン タレガと同じく“Gordo” と呼ばれたアルカラの一族です。ファン タレガと同じくホアキン デ ラ パウラのアルカラのソレアを歌っています。その他ブレリアやタンゴ、サエタも歌ったようで録音が残されています。

Antonio Mairena(アントニオ マイレーナ)
アントニオ マイレーナはセビリアのマイレーナ・デ・アルコールの出身。彼はフラメンコにとても功績を残した人と言われています。それまで地域ごとに歌われ分類されていなかったカンテを、アントニオ マイレーナが曲種や地域のスタイルごとに分類し、古く消えかけていたカンテに再度注目することができるようになったのです。カンタオール兼研究者のような人です。

Manolo Caracol(マノロ カラコル)
マノロ カラコルは、セビリアのアラメダ生まれのカンタオール。ファンダンゲーロと呼ばれるファンダンゴの名手であるのと同時に、サンブラも得意としました。ロラ フローレスとセットの印象がありますね。あとなんでかジャケットを片方の肩にかけているイメージですね。

Antonia La Negra(アントニア ラ ネグラ)
トリアナ生まれの父とヘレス生まれの母を持つアントニア ラ ネグラは、ロレ モントージャのお母さん。少し枯れた通る声が特徴的。モロッコで育った経験があるそうで、その後トリアナへ移り住んだそう。それがカンテに影響しているのか。青い服で歌ってるタンゴはぜひ見てみて。

カディス県(ヘレス・カディス・ロタなど)のカンタオール/カンタオーラ

ヘレス、カディス、ロタなどカディス県のカンタオールやカンタオーラを集めました。ブレリアの印象が強いヘレスですが、シギリジェーロと呼ばれる深いカンテを得意とするカンタオールたちがいます。

El Chocolate(チョコラテ)
チョコラテはシギリージャやファンダンゴを得意としたヘレス生まれのカンタオール。フェスティバルなどの舞台の映像では、シギリージャかファンダンゴどっちがいい?と客席に尋ねる一幕もあったりします。みんなチョコラテのシギリージャやファンダンゴを期待していたのでしょうね。その光景を思い浮かべるだけでもワクワクしますが。ファルーコのバイレ伴奏でも歌っていて、チョコラテが歌うシギリージャのカンテのスタイルを崩さずに呼応するファルーコの映像は必見です。

Terremoto de Jerez(テレモート)
テレモートはヘレスのサンティアゴ地区生まれのカンタオール。シギリジェーロと言われ、太い声と歌い終わりの伸ばしが特徴的なシギリージャを歌います。他にはブレリア、ファンダンゴなどが録音に残されています。声や歌い方の特徴は、孫娘のマリア テレモートが受け継いでいるような感じがします。

La Paquera de Jerez(パケーラ)
パケーラと言えばブレリアのイメージが強いです。映画『フラメンコ』ではヘレスのアーティストたちを引き連れて、最初に野太い声で「アリリリア〜リアリアンダァ!」歌っているのが印象的。ブレリアやファンダンゴを得意としたカンタオーラ。特別フラメンコのアフィシオナードという人でなくてもパケーラが好きというスペイン人は結構います。

Manuel Agujeta(マヌエル アグヘータ)
マヌエル アグヘータはシギリージャやファンダンゴ、ソレアを歌うカンタオール。幸いにも日本でダイレクトに聴く機会がありました。とにかく怖かった。カンテを聴いて臓器ごと全て持っていかれるのではないかと思ったのは、あの時だけです。ものすごい体験でした。ぐいぐい引き込まれるような黒さのあるカンテ。アグヘータ一族が生まれ育ったのはロタで、ロタにはマヌエルの父ビエホ アグヘータのペーニャPeña Flamenca “el Viejo Agujeta”があります。ドローレス アグヘータの父。

Agujeta el Viejo(アグヘータ ビエホ)
マヌエル アグヘータの父もカンタオール。ヘレスで生まれ、その後ロタに移り住んだそうです。怪物マヌエル アグヘータのあの歌が生まれたのはお父さんの影響があったのでしょうか。シギリージャ、ソレア、ファンダンゴ、ブレリアなどの録音が残されています。

Manuel Torre(マヌエル トーレ)
マヌエル トーレはヘレスのカンタオール。シギリージャ、ファンダンゴ、ソレア、タンゴなどを歌い、不運を招くと嫌煙されがちなペテネーラも歌っています。かなり昔のカンタオールなので、CDだけどレコードかな?と思うような古い音質の録音です。

La Perla de Cadiz(ペルラ デ カディス)
「カディスの真珠」という名前の通り、真珠のような美しい歌声が特徴ペルラ。カディスのアレグリアスやブレリアを軽快に歌います。「Duermete Curro mio〜♪」が印象深い人も多いのでは。エンリケ エル メジッソ(Enrique el Mellizo)のカディスのソレアを、ペルラのスタイルで歌い上げています。本当に声が美しい〜。

Camarón de la isla(カマロン)
さすがにこの方を知らない人はいないであろう。カディス県サンフェルナンド生まれのカマロン。幼い頃からアフィシオナードだったカマロンは、バルのジュークボックス的なものでペルラ デ カディスを好んで聴いていたという噂を耳にしたことがあります。唯一無二の歌声は、フラメンコを知らない人にも知られているほどです。CDもたくさんあるしYouTubeにもたくさん。

ウエルバのカンタオール/カンタオーラ

ウエルバのカンタオールはこちら。

Paco Tronjo(パコ トロンホ)
パコ トロンホはウエルバ県の村アロスノ生まれで、言わずと知れたファンダンゴ・デ・ウエルバの名手です。アロスノと言えば「Alosno calle real del Alosno〜♪」というファンダンゴの歌詞で知っている人も多いのではないでしょうか。ウエルバにはパコ トロンホの銅像があり、ウエルバ県のフェスティバルに行けばパコ トロンホの名前が出るほど、地元で愛されています。

フェステーロと呼ばれる人たち

そしてそして、カンタオールであると同時に歌の合間に一振り踊るという魔法のようなことができちゃうフェステーロたちはこちらです。

Ansonini(アンソニーニ)
アンソニーニはカディス県生まれ。ヘレス生まれ、プエルト・デ・サンタマリアで育ち、その後アメリカ、モロン、マドリード、セビリアなど色々な土地に住んではフィエスタの場で活躍したそうです。同じ時代のパコ バルデペーニャス、フェルナンディージョ デ モロン、ミゲル エル フニ、アンドラーノetc…と黄金時代を築いた人。お茶目な人だったのかな?日常のおもしろいことを歌詞にして歌っているような印象があります。アメリカにいた時代の映像がYouTubeでいくつか見られます。

Paco Valdepeñas(パコ バルデペーニャス)
パコ バルデペーニャスはシウダード・レアル県のバルデペーニャス生まれ。舞台やフィエスタで活躍したそうです。背が高くてスーツをかっこよく着こなし、優しい歌い方で踊ってもエレガント。品の良さが全てから出まくってます。彼に影響を受けた現代のアーティストは多いそう。YouTubeで舞台やフィエスタの映像を見ることができます。生で見てみたかった…!

Miguel el Funi(ミゲル フニ)
ミゲル フニはセビリア県のレブリハ生まれ。日本に何度か来られたことがあり、幸いにもスペインでもクラスや舞台で拝見する機会がありました。カンテで一番大切なことはコンパスだ、とレブリハのペーニャ(だったかな?)で話していた時のことをすごく覚えています。ブレリアだけでなくソレアやシギリージャも歌うカンタオール。腕を上げるだけで空気が動くような感じ。

El Mono de Jerez(エル モノ デ ヘレス)
エル モノ デ ヘレスは名前の通りヘレスのアーティスト。映画『フラメンコ』でヘレスのエル トルタが歌っている時に踊っているので知っている人が多いと思いますが、歌も歌います。ヘレスの軽快なコンパスで歌い、さらりと愛嬌のある一振りする姿が印象的です。

Andorrano(アンドラーノ)
アンドラーノはモロン出身で、カンタオール ホセレロの息子。フェスティバルやフィエスタの場で活躍していたそうです。一度見たら忘れない彼のアルテに影響を受けたと語っているアーティストの話を、何度か聞いたことがあります。地球儀が回転するようなブエルタは唯一無二のもの。軽やかでうまみが詰まった仕草が特徴です。

Luis de la Pica(ルイス デ ラ ピカ)
ルイス デ ラ ピカはヘレスのサンティアゴ地区生まれ。ブレリアやソレアを歌うアーティストで、カンタオールでもあり作詞家でもありました。彼の歌詞は現在でも歌っているアーティストが多いそうです。ブレリアを歌う時は最後だけさらりと粋に踊ってはけていきます。

フラメンコのアフィシオナードになる

ものすごく長い記事になっちゃった。

フラメンコを理解したいと思って勉強している身として、今後も素敵なカンテを聴き続けていきたいです。

私が尊敬するアーティストが「どっちのカンテが好き?と聞かれることがあるけど、選ぶ必要はない。好きなものは全て好き。日や気分によって聴きたいアーティストが変わることだってある。」と言っていました。

広い視野でいろいろな音源を聴いていきたいと思います。

深夜にガーッと書いたので、情報間違っている点があったらご指摘くださいませ。そして「このアーティストもおすすめ!」というのがありましたらぜひ共有ください♪

最後まで読んでくれてありがとう。
Hasta luegui!!!






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ABOUTこの記事をかいた人

スペイン語とスペイン文化+αを学ぶため、会社を退職して2015年6月よりスペインのセビージャ暮らし。日々の生活で気づいたこと、スペイン語のこと、セビージャのこと、などなどをブログに記録。熱中したら止まらないB型。Sevilla tiene un color especial〜♬YouTubeにはゆるい日常vlogをあげてます。